『薔薇空間』 ~宮廷画家ルドゥーテとバラに魅せられた人々

2008-05-24 23:57:43 | 美術館&博物館など



 「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開催中の『薔薇空間』に行ってきました。5年前にも同じ場所で、ルドゥーテの展覧会が開かれ、いそいそ出かけたのですが、今回は、「バラのラファエロ」と称えられたルドゥーテの生誕250年を来年に控え、彼の集大成ともいえる『バラ図譜』(全3巻)に焦点を絞り、収められたフォリオ判(二つ折。ちなみに、河出書房新社から出版されたフォリオ復刻版の大きさが386×296mm)の図譜169枚+1枚(バラのブーケが描かれた扉絵)全てを額縁に入れ展示するという、夢のような企画でした。オリジナルの銅版画170枚をこの目で見られる日が来るなんて、記事を書いてる今でも信じられなくて・・・。

 ルドゥーテの『バラ図譜』のファンは非常に多く、数社から復刻版が販売されています。自分も1冊持っていますが、中身は全く別物だったことが今日わかりました。これはひとえに、現代のオフセット印刷と、ルドゥーテが生み出したともいわれる当時の彩色点刻彫版&手彩仕上げとの差に他なりません。透明感、精微さ、奥行き、解像度、陰影、濃淡、階調・・・全く敵いません。
 今回の展覧会では、ルドゥーテ以外に「薔薇に魅せられた人々」の点刻彫版画、水彩画、そして写真が展示されているのですが、点刻彫版画(スティップル・グレーヴィング)を見た後では、水彩画も写真も何とも見劣りしてしまい、同じ点刻彫版画でも、植物学的描写(実や蕾の段階も描きこむこと)をきちんとしながら「バラの肖像画」を描いたルドゥーテの「天才」が際立つ展覧会になってしまいました。
 会場では、ルドゥーテが唯一表現できなかった(とは個人的には思わないが)「香り」の演出とか、ルドゥーテ作品をモチーフにした3DCG動画も見られます。個人的には170枚に尽きるのですが、是非とも『薔薇空間』をお楽しみくださいませ。
 『薔薇空間』の公式HPは、 → ここをクリック



 ルドゥーテの『バラ図譜』の銅版画を自分の目で見る機会が訪れようとは・・・何が何でも渋谷に行かねばならないと思っていました。結構混んでいましたが、2時間ほど滞在している間に、お気に入りの絵と一対一で対峙することもできました。同じ企画でメーリアン女史を特集して欲しいな~♪


 『バラ図譜』は、バラを愛したナポレオン王妃ジョゼフィーヌのために制作、彼女の死後10年にようやく完成しました。ルドゥーテは、やはりバラが好きだったマリー・アントワネットにも仕えていて、左のロサ・ケンティフォリアは、彼女(マリー)の肖像画の中でもお目にかかれるそうです。


 いつもだったら、記念に図版やポストカードなどを買うのですが、銅版画を見た後では買う気になれず・・・それでも河出書房新社から発売されている『バラ図譜』は自分が持っているタッシェン社のフォリオ判(4500円)よりも階調が豊かな感じ。税込み14700円は非常に高価だけど、1枚あたり100円以下と考えれば買えそう・・・ちなみに、『バラ図譜』のフォリオ判彩色点刻銅版画は、比較的程度の良いものが一枚11~40万円ぐらいで取引されていて、その気になれば、お気に入りの一枚を手に入れることは決して不可能ではない? 


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2 コメント

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Unknown (まめちゃん)
2008-05-25 16:09:34
素敵なご紹介をありがとう、と言いたい!!

最初、TOSHIさんのブログを開いた時
あまりのエレガントさに見ほれてしまいましたよ。
私もバラ図譜をぜひ手に入れたいです。
というより、<BUNKAMURE>に見に行こうかな~
今まさに薔薇の時期ですから
お忙しいTOSHIさんですが、ぜひ
京成バラ園に足を運んでください。
薔薇のフレーバーを利かせたソフトクリームも
ありますよ。

NHK朝ドラ今回のシリーズ、心を入れてみていないので、どちらかというと、その後のエコツアーを楽しみにしています。でもダンスについてTOSHIさんが書かれていたのを読ませていただいたのでダンスシーンを楽しみにしようかな。

TOSHIさんの動物達に対する暖かい目を通した写真は本当に楽しみにしています。これからも続けて掲載してくださいね。
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京成バラ園ですね! (Toshi)
2008-05-25 18:47:11
まめちゃん、こんばんは~
今日で一応授業は終わったのですが、来週から施設実習が始まるので、今しばらくはやや不自由な状態が続きます・・・が、「京成バラ園」ですね!
こちらこそ、素敵な情報をありがとうございます。是非、足を運んでみますね~♪


Bunkamuraには行っちゃってくださいませ。バラ図譜も売ってますし、何といっても銅版画の素晴らしさといったら・・・
今後ともよろしくね~
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