花束抱えて君の元へ・・・
次から次へと流れてくるクラシック音楽に耳を傾けながら、「こんなに気持ちがいいなら、最初から見ればよかった~」と思った。ああ~、放送日を間違えて第1回目を見逃さなければ・・・のだめと同じ〈いじけ癖〉が恨めしい・・・あいや~~
(大丈夫、再放送があるさ! それに来年からアニメと、そして続編も?)
実をいうと、私のクラシック体験は、子供の頃に両親が情操教育用に?買ってくれた2枚組×12巻のレコードが全てだった。確か、『子供のためのクラシック』とか、そんな題名がついていたと思う。第1巻がブラスバンドとアメリカ民謡、第2巻が小品名曲とシューベルトの歌曲といった具合に、一巻につき楽曲と声楽のレコードが1枚ずつ入っていた。また、楽器の種類やオケの編成、クラシック音楽の歴史や音楽家について、丁寧な解説書がついていて、重宝したものだった。愛聴していたのは第1巻のブラスバンド(好きだったのは、『アメリカン・パトロール』『軽騎兵序曲』『ラデッキー行進曲』)と第12巻の交響曲(ベートーヴェン『田園』『第九』、モーツァルト『交響曲第40番』)。あとは第7巻?の「室内楽とセレナーデ」から『弦楽セレナーデ』だったり、『くるみ割り人形』の「花のワルツ」や『アルルの女』の「メヌエット」、それに『口笛吹きと子犬』や『シンコペーション・クロック』や『愉快なかじ屋』といった小品だった。
のだめのBGMは懐かしさを運んでくれる。二度と聴くことのできないこれらのレコードを聴いているような気分になれる。ほら、あのミツバチがぶんぶんいってるような曲は、なんて名前の曲だっけ? シューベルトの『魔王』が、ホラー映画のように子供心に怖ろしかったことまで、思い出してしまった。
たった1週だったけれど、ちょうど今回が最初のパートの「まとめ」だったせいか、千秋(玉木宏)と、のだめ(上野樹里)と、シュトレーゼマン(竹中直人)のポジションをだいたい把握できた。来週からは新展開といった感じでもあり、それほど「遅れ」を感じずにドラマについていけそうだ。特に、ただのスケベ親父だと思っていたシュトレーゼマンに大ロマンスがあって、思い入れの曲がラフマニノフの「ピアノ協奏曲2番」だったとは・・・感無量です。
『ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番』といえば、ジョーン・フォンティーンとジョセフ・コットン主演の映画『旅愁』(50)。特に、第2番第2楽章とクルト・ワイル作曲、ウォルター・ヒューストン唄の「September Song」が有名だが、ラフマニノフを意識するようになったのは、実はこの映画ではない。
のだめとは違うけれど、クラシックおたくな女の子がいきなり「良かったら聴いてみてください」と貸してくれた3枚のCDの中に、ラフマニノフのピアノ協奏曲があった。 僕は、第1楽章が終わり第2楽章に入って、ピアノとフルートによる主旋律が流れてきたときの衝撃を今でもはっきり覚えている。心の奥底から音楽がじわじわと湧き上がってくる感じだった。そしてそれが体全体に広がっていくのと同時に、CDを貸してくれた彼女の顔が目の前に浮かびあがったのだ。こんな体験は生まれて初めてだった。
CDを返したときに、特にラフマニノフの2番が良かったことを伝えたら、ひどく彼女は喜んだ。「このラフマニノフの2番は、自分が持っているラフマニノフの中で、一番お気に入りの演奏なんです」と言って、心底嬉しがった。今思うと、まるで〈のだめ〉のような表情で・・・
それから、彼女は次々とCDを貸してくれた。どれもこれも素晴らしかった。ダンボール何箱も持っているCDの中から、とっておきの演奏を聞かせてくれていたので、当然といえば当然の話だが、そうして僕は、ロストロポーヴィッチやギドン・クレーメルを知り、ハインツ・ホリガーのオーボエや、今井信子のヴィオラを愛するようになった。彼女が最も好きだったのは、ウラジミール・ホロヴィッツのピアノと、ヘルマン・プライの『冬の旅』だった。ヘルマン・プライは、一緒に日本公演を聴きにいった。
彼女は市民オケに入っていて、定期的に演奏会に出演した。フルートが彼女のパートだったが、第2ヴァイオリンやヴィオラを弾くこともあった。OGとして大学のマンドリン・オーケストラでマンドリンも弾いていた。一度だけ彼女のマンドリンと、僕がギターを弾くことを条件に、ビヴァルディの『四季』から「冬」を合奏した。それほど難しい曲じゃないので、練習すれば僕でも何とか主旋律を弾くことができた。それから僕の大好きなピアノ・・・ピアノは得意ではないと言っていたが、ショパンの『華麗なる大円舞曲』を聴かせてもらったときは、胸が高鳴った。
彼女とは本当にいろいろなことを話したし、一緒に映画を見たり、音楽を聴きにいった。僕は彼女に手紙を100通書くことにした。99通目の手紙を投函したのは、10年以上も前になる。100通目の手紙は出していない。それを出したら、永遠にさよならを告げることになると思ったからだ。くもの糸ほど細かろうが、どこかで繋がっている想いを断ち切りたくない。
彼女がフルートを吹いていた『チャイコフスキー交響曲第1番~冬の日の幻想』と、『シベリウス交響曲第1番』は、お手本として貸してもらったCDに匹敵する演奏を見つけることができたけれど、『ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番』だけは、未だにあのとき聴いた演奏を凌駕するものに出逢えない。思い出の中で昇華されてしまったならば、それを凌ぐのは至難の業だろうが、ツィマーマンが『2番』(指揮は小沢征爾)を演奏しているので、近日中に聴いてみようと思う。千秋が弾くラフマニノフは、テレビドラマといえどもかなりの感情が込められていたし、タクトを振るシュトレーゼマンからも気持ちをもらって、なかなか良い演奏だったんじゃないかな。何しろ、堤が切れたように、昔のことを一気に思い出してしまったのだから・・・こんなことを書いてしまったのは、皆、あのシュトレーゼマンを演じた竹中さんのせいだ!
千秋&のだめ、そしてシュトレーゼマン。彼らはどこを目指してどこに向かっていくのか? どうやら、福士サンの黒木君が出演しなくても、目が離せなくなってしまった模様・・・
(眼をこらして予告編を見たのに、黒木君いませんでしたね・・・)
左上は、黒木君(ホリガー)の『オーボエ協奏曲 K314、K313』。右上は、同じく『オーボエ四重奏曲 K370』と、『アダージョとロンド K617』 『オーボエ五重奏曲 K416』(以上モーツァルト)。下は、黒木君(ホリガー)と達彦さん(ブレンデル)による『オーボエとピアノのための3つのロマンス』その他、オーボエとピアノのための作品集(以上シューマン)。
PS.11月16日(木)に次週の予告が公式HP上にアップされるそうです。黒木君の動向がわかるかな~?
トシ子さんの持っていたようなレコードを、私も親からもらっていたこと思い出しました。子供らしくチャイコフスキーの「くるみ割り人形」とか、モーツアルトの「アイネ・クライネ・ナッハト・ムジーク」とかが好きだった記憶があります。
ハインツ・ホリガーのお話ができるのはうれしいですね~。私は2度ナマで聞く機会に恵まれました。1度目はN響定期演奏会で、2度目はウィーンの学術協会で。こちらのほうは彼の作品が2部で演奏されたのですが、私には難曲過ぎ・・・。修行がタリン。
長々とスミマセンでした。それからトシ子さんの100通目がいつまでも手元にありますように。
ガガガ~っとトシ子さんのラフマニノフの話から下がってしまいますが、エリック・カルメンの「オール・バイ・マイセルフ」がどうしても頭から離れず・・・。
トシ子さんのコメに励まされ、復活!(^_^)vです。ありがとうございます♪
子供が何年か前に、エレクトーンの大会で、このラフマニノフの曲を弾いたのですが、その頃は親子で???でした。(はずかしい(^_^;))
トシ子さんの記事を読んで、へぇーボタンをいっぱい押したい気分で~す。
とても勉強になりました。
我が家も、子供と【のだめ】にハマっていま~す(^O^)/
子供は、シュトレーゼマンのテーマ!?がお気に入りです。
私も先日の「のだめ」を見て感動しました。内容はもちろんすごくすごくおもしろかったけど、やっぱり千秋の「ラフマニノフ」に圧倒されました。オケをいろんな角度から撮ってくれたし、ピアノだけのも聴かせてもらえたし、なにより本当に彼らが演奏しているように、いや、本当に演奏していたと100パーセント思わせてくれました。玉木君があんなにピアニストになりきっているとは、役者魂ですね。きっと福士君もできると思うけど・・・
ラフマニノフのピアノコンチェルトは他のコンチェルトと比べて断トツに大好きです。美しい旋律がちりばめられていて、ドラマティクで、ゴージャスで、繊細なのにロシアの大地を思わせるどろくささ(適切な表現ではないかも・・・)さえ、感じてしまうのです。彼はチャイコフスキーを大変尊敬していたそうだからかもしれませんね。
トシ子さん 確か「旅愁」でピアニストの女主人公がオーケストラをバックに弾いていたのも、この曲だったと思うのです。子供の時に見たのでうろ覚えなのですが、イタリアの美しい風景と、それにもまして美貌の主人公のピアノを弾く姿、メロディの美しさに釘付けになったことを覚えています。そして悲しい別れ・・映画って本当にいいですね。
ごめんなさい。やっぱり「旅愁」の曲はラフマニノフだったのね。今日ちょっとあわてていたので ごめんなさい
『サマータイム・ブルース』、予告編しか見ていません。なかなか面白そうだと思ったのですが、先を越されちゃいました。組曲『くるみ割り人形』は今でも大好きですし、『アイネ・クライネ~』は5時20分になると無情に鳴り響く目覚まし時計です・・・
玉木君は、私も格好良いと思いました!
ほんとに大丈夫? 無理しないでくださいね。
エレクトーンの発表会で、ラフマニノフですか・・・それは凄い!!
『のだめ~』には完全にはまりましたが、シュトレーゼマンさんにもはまりそう、あんなにいかがわしかったのに・・・『芋たこ~』に『のだめ~』、楽しみが増えて嬉しいニワトリです。
でしょ~。私も玉木君にかなりドキッとしています。「なかなかやるな、こいつ」といったところでしょうか、千秋として第2弾第3弾と、演じていって欲しいです。樹里さんともいいコンビじゃないでしょうか?
私は最初、ハセキョウにのだめをやってほしいなんて思っていましたが(彼女のコメディエンヌが見たかったのですが)、のだめにはややアダルトでした・・・
ラフマニノフは3番も素晴らしいと思うのですが、噂によると、1番もかなり良いそうですね。これから楽しみです。そのうち、チャイコフスキーのピアノ協奏曲1番とか、交響曲も出てくるのでしょうか?
『旅愁』は大好きな映画です。ピアニストの彼女の弾くラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、「September Song」と共に胸に響きます。でも、この作品、DVD化されていないんですよ。不思議なことに・・・
ヒロインを演じたジョーン・フォンティーンは、東京生まれなんですよ。知ってました? 少しドンくさいところがありますが、気取らない素敵な女優です。ヒッチコックの『レベッカ』『断崖』の彼女は、本当に好きでした。ディターレの『旅愁』も良かったし、ワイルダーの『皇帝円舞曲』の彼女も良かったなあ~
まだオフュルスの『忘れじの面影』を見ていないのですが、全作品を見たい大好きな女優です!
というようなことを言っていたけど、
十分詳しいのになーと、私は思ってました。
その秘密を少し垣間見ることが出来ました・・
ツィマーマンのCD、素晴らしいですよ
この人はこういうシリアスかつドラマティックな
曲を弾かせると、もう文句のつけようがありません。
ショパンのバラードのCDを聴いた時なんて、
もうただ呆然とするばかり・・
Toshiさんの思い出の演奏に迫るものかどうかは
わからないけど、聴いてみて損はしないと思う
のだめのCD、私も買ってしまいそう・・
やだなー(笑)
きっと、kikiさんが、レコメンドしてくれるんじゃないかと思っておりました。ありがとうございました!
(あの日の演奏、凄かったから)
あの(恥ずかしい)記事を書いた次の日に、山野楽器に行ったんですが、ツィマーマンのラフマニノフは残念ながら売り切れ中でした(Amazonで買うか・・・)。
のだめのCDは平積みされていましたが、この日は買わずに帰りました(時間の問題・・・)。
個人的なことを語るのはどうかと思ったのですが、千秋とシュトレーゼマンがそれほど素晴らしかったということで・・・もう思い残すことはないので、クマに遇っても大丈夫?
まだ言ってる・・・意外と臆病なんですね