27日夜小川さんの奇跡的な生還の様子がニュースで放映されていた。
私達は翌日28日燕岳から常念岳への縦走登山をめざすことになっていた。
28日中房温泉から登山開始。7時40分。
最初は急登で苦労したが、綺麗な紅葉を眺めながらの登山だった。
13時30分燕山荘到着。
往復1時間燕岳へのアタックも楽しんで17時15分から夕食タイム。
しばらく経ってから玄関の戸をあけて暗い戸外に出た。安曇野の街の灯りが輝いていた。
暗がりの中、携帯電話で話をしている女性に気が付いた。
御嶽山の噴火のことを話しているのだが、その内容がやけに具体的。
電話が切れたのを確認してその女性に話しかけてみた。
私「御嶽山の噴火ことを話されていましたが、どの辺が噴火したんでしょうか」
その時彼女の顔が見えた。夕べのテレビニュースに出ていた小川さんだった。
私「あっ、登山ガイドの小川さんですよね」
「何でここに来てるんですか?怪我は無かったんですか?」
小川「今日は予約を受けていた女性10人を案内して来ました。
右の太股は岩が当たってクロネ状態です」
「電話は明日の下山後NHKの取材です」
肉体や精神面に相当ダメージがありながらも南信からガイドとして
登山者を案内し燕岳へ。
彼女の誇り高きガイド魂には心が震えた。
「テレビ見させてもらいます。気を付けて下山してください」と声をかけ中に入った。
6行目に「噴火の翌日もガイドの仕事で山に登っていました。」
これが燕岳ガイドだった。
再び小川さんに逢うことができたのは、17年6月4日キッセイ文化ホールで
開かれた市民講座「女性と登山 私にとっての山」であった。
パネルディスカッションがすんで座席に戻っていた小川さんに
燕山荘での出逢いを話すと覚えておられて嬉しかった。
可愛らしい名刺
一夜を過ごした燕山荘から常念岳に向かう登山道から見えた噴火。
噴火から2日目。