池澤夏樹編「日本文学全集」第3巻、川上弘美訳「伊勢物語」
平安時代初期に実在した貴族、在原業平を主人公としたとされる歌物語集。
1,070年前の成立だが、今風に言えば、和歌を中心に物語が展開するミュージカルである。
全125段から成るがなかなか面白い。
例えば、
・名にし負わばいざ問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと(9段)
・かち人の渡れど濡れぬえにしあればまたあふ坂の関はこえなむ(69段)
・ついにゆく道とはかねて聞きしかど昨日今日とわ思はざりしを(125段)
など、さっそうとした含蓄に富む歌が散りばめられている。
この巻には、他に「竹取物語」、「堤中納言物語」、「土佐日記」と「更級日記」も収められている。
今年は、この池澤版の「全集」に取り組みたいと思っている。