1961年発表の短編11編を収める。504頁。
①八腿烏(やたがらす)
②飛び加藤
③果心居士の幻術
④雑賀(さいか)の舟鉄砲
⑤忍者四貫目の死
⑥侍はこわい
⑦言い触らし団右衛門
⑧売ろう物語
⑨弓張嶺の占師
⑩女は遊べ物語
⑪おお、大砲
著者38歳の時の作品で、この時期、「風神の門」を大阪新聞に連載していた。
掲載誌は、文藝春秋や中央公論等の一流誌だけでなく、「主婦の友」や「講談倶楽部」などバラエティに富んだ各誌だったから、物語のテーマも幅広く、ファンタージーあり通俗小説ありで、それぞれ面白く読んだ。
中でも、⑦言い触らし団右衛門と⑧売ろう物語は面白かった。
戦国末期、豪傑とされた塙団衛門と後藤又兵衛は、それぞれ仕官先に自身を高く売りつけるべく宣伝にこれ努めたという。