アーバンライフの愉しみ

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西加奈子著「サラバ!」

2019年03月26日 | 読書三昧

第152回(2014年下期)直木賞受賞作。
「きらら」2013年12月~2014年10 月連載、733頁の大作。

 

イランの首都テヘラン生まれの著者の37歳までの生きざまをトレースするかのようなダイナミックな物語。

同賞の選考委員を務めた作家の北方謙三氏は、選評で、

「少年期から大人まで描かれた男の人生がどこに行き着くか、そんなこと はどうでもよくなってくる。細かい齟齬など混沌に呑みこまれ、方々で人 々の叫びや喚きや歓声があがっている。ここに描かれたのは人生であり、 それは小説がなすべきことだった、という読後の強い思いもあった。」

と述べたように、圧倒的な筆力で読者をいたぶる力を持っている。

人物描写が優れているので、たくさんの登場人物がひとりひとり、血肉を もった人間として描かれている点、感心しながら読んだ。

私事だが、かって同地に(これも偶然だが)筆者が生を受けた時期に在住 していた者として、著者の成功に拍手を送りたい。

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