惜しい人を早くに亡くした。
直木賞を得て後の作品は、締め切りに追われ書き飛ばすものが多くなり「困ったものだ」と思っていたが、その故もあってか急逝された。
今回、哀悼の意を示す意味もあって、比較的評判の良い同書を読んだ。「小説新潮」2014年1~12月連載、311頁の長編。
物語~徳川家光の時代。筑前福岡藩(黒田家)の取り潰しをねらう幕府に対し、筆頭家老の栗山大善は、主君忠之に謀反の疑いありと告発し幕府と直接闘うことに・・・。
2015年にリリースされたものだが、この時期の作品としてはよく出来ている。文章もまずまずだ。
ただ、作者はこの小説を通して読者に何を訴えようとしたのか、わからず仕舞いだった。