冬の怪談

「あたしのクルマのエンジン、掛かってる！」

・・・・・・・・・？

と、取り敢えず、もちつけ！
　　　　　　　　　　　　↑
　　　　　　　　　　　オマエモナ～


とある女性からの電話だ。
普通、エンジンが掛かるのは正常だと思われ。

「仕事終わって、駐車場に往ったら、あたしのクルマのエンジンが掛かってたの！」

「・・・・・・。エンジンスターター、掛けたんじゃないの？」

「リモコン、壊れてるもん！誰か、鍵持ってるんだよ！」

ちょっとしたオカルトだ。
若しかしたら、クルマが自らの意思をもって・・・・


「・・・・・・。鍵、開いてた？」

「開いてた！」

「・・・・・・・。若しかして、朝、会社に着いてさ、エンジン切り忘れた、とかない？」










「あ”～！」


彼女のクルマはスマート・キー・システム。
リモコンをバックに忍ばせていれば、
クルマに近づくだけで、ドアロック解除。
クルマから離れるだけで、ドアロック施錠。
恐らくは、（遅刻するかで）慌ててエンジン切り忘れたまま、
会社に飛び込んだと。

いつもなら、
「ピッ！」
と鳴って、ロックするのだが、エンジンが掛かっていれば、
ロックはされない。
よって、一日中暖機運転。
車上荒らしされなかったのが幸運である。

「ク、クルマに、なんか、悪い影響、ないよね・・・・・？」

「クルマに悪い事は無いけど、環境には悪いわな。」

運良く、朝に満タンにしたらしく、
フューエルメーター、ひと目盛り下がっただけだとか。
そっからは、週末の話なんかして、笑い話に。

様々なモノが便利になってきてるが、
使いこなせない、というよりは、
使い方が分からないまま、使ってるモンだ。

まあ、良くある事だ。
ＰＣだって、良く解んないが、何となく使えてるもんだ。
勢いで触ってるうちに、どうにかこうにか出来てしまう。

身の回りの物って、もっとシンプルでいいんだよな～