信号待ちで停まった。
左手に商店。
古めかしく、
何をメインにしてるのか分からん店。
野菜なんかを多く並べている。
陳列台は店先から溢れ・・・・・・
つうか、
殆どが歩道に並べられている。
まあ、
こういう光景が、交番から100m位の場所で見られるのも、
この土地の大らかさの象徴か。
一人の女性がスイカを持ち上げた。
その後姿に、私は注視した。
スポーティなシャツに長い髪。
(私も健康な男子なんでね)
少し、こちらの方を向いた。
・・・・・・・・・・・・・・。
す、推定年齢50代といった感じ?
ま、まあ、
若けりゃいいってモンじゃないよね。
(若い方がいいけど)
彼女はひとつのスイカを抱えたまま、
他にも物色中である。
今、抱えているのが、
彼女的にはベストなんだろう。
しかし、
更なる獲物を彼女は求めている。
が、
今手にした暫定1位は手放す訳にはいかない。
店の人が出て来た。
何か話をしている。
まあ、大体察しはつく。
小脇に抱えたスイカはそのまま。
彼女が良いスイカに巡り合う事を祈る。
信号が変わった。
・・・・・・・・・。
前のクルマが動かない。
前のクルマの運転手も、
じっと、彼女の行方を見守っている。
彼の視線の先には、あのスイカ。
夏だもんな。
クラクションも鳴らす事無く、
前のクルマが動くのを待った。
夏なんだし。