夕方、平内に車検納車。
平内つうても、
ほぼ、椿山。
夏泊半島の東側だ。
いつもは、トンネル経由のバイパスなんだが、
何となく、
浅所を通ってみた。
小さい頃、
良く、親に連れてきてもらったっけ。
ただ、
白鳥に餌を、
それでも、おっかなびっくりだったっけ。
奥の方に、
未だ帰らない白鳥が十数羽。
思い出の様に取り残されている。
納車終了。
半島をぐるりと回って帰ろう。
椿山は昔は店も出てた。
海の家みたいな。
無くなって、もう、随分と経つ。
椿山の伝説。
義経伝説ともリンクする。
義経が平泉から逃れ、
暫く八戸に居住した。
その折、
地元の女生との間に、子供が生まれた。
子供は娘へと成長し、
とある若者と恋に落ちた。
しかし、
若者の身分が低く、二人は結ばれる事は出来ない。
二人は駆け落ちした。
夏泊半島まで逃げ落ちて、
二人は自害した。
その時、
蝦夷に渡った義経が、
白鳥に姿を変え飛んできた。
二人が流した血の赤と、
白鳥の白が、
椿の花に姿を変えたと。
荒廃した椿山には、
そんなロマンスも感じられない。
風が強くなってきた。
夏泊の突端には店もあったのだが、
今は廃屋が残るのみ。
対向車も来ない海岸線を眺める。
ああ、
ここにも来たな、
子供の頃。
ヤドカリなんか捕って喜んでた。
ビンボだったんでな、
ジュースの一本も買ってもらえれば、
大喜びだった。
ボーっと、
記憶を辿る様に、海岸線を。
新しいトンネルを潜る。
茂浦までショートカットできる。
トンネルを抜けると、
夕陽が差していた。
モノクロームの裸樹に、
陽が差して、
セピア色に浮かび上がらせた。
まるで、
色褪せた写真の様に目の前に迫る。
悲しい色やねん。
ああ、
四十年、過ぎたんだな、