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そんな独り言
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十五夜

2005年09月18日 18時08分07秒 | Weblog
雨の十五夜ですな。

月には、うさぎが居ます。
はい。
では、何故、
月にうさぎが居るようになったか、
という話ですが、
先日より思い出していた昔話がありましてな。
やっと、自己完結しました。
こんな話です。


ある山に、兎と狐と猿が仲良く暮らしていました。
ある年、山も里も作物が取れず、
人も獣もたいへんひもじい思いをしていました。
それでも3匹は少ない食べ物を分け合って暮らしていました。

ある日、痩せ細った老人が山をさまよっていました。
3匹の前に来ると、ペタリと座り込み、
「お腹が空いて動く事も出来ません。どうか何か食べさせて下さい。」
と言いました。
3匹は老人に食べさせる物を探しに、山に入っていきました。
狐は小川で小魚を獲る事が出来ました。
猿は木の上で少しばかりの木の実を探す事が出来ました。
しかし、兎はなかなか食べ物を探す事が出来ませんでした。
狐の様に狩り上手ではありませんし、
猿のように木登り上手ではありません。
ぴょん、ぴょんと、里まで跳ねて行きましたが、
野菜の根っこすら見つかりません。

途方に暮れて、とぼとぼと山まで帰ってきました。
今頃、狐や猿はお爺さんに何か食べる物を持ってきてくれているだろう。
しかし、自分は何も探し出す事は出来なかった。
このままではお爺さんに申し訳ない。

何を思ったか、兎は木の枝を何本も拾って帰ってきました。
そして火を焚き、大きな鍋を沸かし始めました。
老人と狐と猿が見守る中、
「お爺さん、お爺さん。私は一生懸命食べ物を探しましたが、
何も持ち帰る事が出来ませんでした。ですから代わりに私を食べて下さい。」
そう言って、自ら鍋の中に飛び込んでいきました。

老人はもはや動かなくなった兎を抱きかかえ、
「お前は何て心の美しい者なんだ。お前の様な美しい心を持った者は、
いつでも皆に見える様に、あの月に住まうが良い。」
そう言って、ポーンと月に投げ上げました。
実はこの老人は神様だったのです。
それ以来、心の美しい兎は月で皆を見守る様になったとさ。

この話は中国にも有る様で、
兎と狐と猿は前世での行いが悪かった為に
獣として生まれ変わってしまった者達なそうだ。
彼等が住む山に、人間界に落ちて力を失ってしまった帝釈天が訪れ、
食べ物を分けてくれないかとお願いした。
そして、日本の昔話の通り、食べ物を探し出す事が出来なかった兎が、
自らの身体を捧げた。
この心に感動した帝釈天がもとの力を取り戻すと、
兎を月に住まわせたそうな。


今や、こんな自己犠牲愛ってのが否定される世の中ですが、
願わくば、十五夜を迎えるにあたり、
清らかな昔話の世界に心をはせて下さい。