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「もしファラオがあなたがたを呼び寄せて、『おまえたちの職業は何か』と聞いたら、こう答えてください。『しもべどもは若いときから今まで、家畜を飼う者でございます。私たちも、また私たちの先祖も』と。そうすれば、あなたがたはゴシェンの地に住めるでしょう。羊を飼う者はみな、エジプト人に忌み嫌われているからです。」(創世記46:33,34新改訳)
この章はヤコブ一族がエジプトに移住したときのことを記している。一行は70名であった。むろん異民族であるヤコブたちがエジプトに住むには、ファラオの許可が必要である。その面会の時に備え、ヨセフは念入りに計画を立てた。ここにはヨセフの賢さ、注意深さがよくあらわれている。▼ヤコブ一族はあくまでも寄留者(きりゅうしゃ)にすぎず、エジプト人の下にある。彼らの好意を得てこそ住むことができるのであって、決して優越感(ゆうえつかん)などを態度に出してはならない。ヨセフは長年の生活から身に染(し)みてそれを理解していた。エジプト人が忌み嫌う牧畜(ぼくちく)業者なら、農耕民族の競争相手にならず、国の片隅(かたすみ)に住まわせてやってもよい、そのような印象を与えることが重要なのだ、ヨセフは熟慮(じゅくりょ)のすえ、中央から離れたゴシェンの地を提案し、ファラオの許可を得た。その実、ゴシェンはナイル川の河口にあり、肥沃(ひよく)な土地だったのである。