「時が満ち、神の国が近づいた。悔い改めて福音を信じなさい。」(マルコ一15)
世界終末時計というものがある。といっても実際の時計ではなく、思考上のもので、世界と人類が核戦争などの最終兵器の使用により、文字通り壊滅するとき(午前0時)まで、あとどのくらい残されているかを示したものである。▼喫緊のデータはイスラエルのガザ侵攻で、午後11時58分30秒、つまりあと90秒しか残っていない、という計算になるという。もちろん信じない人々が多いそうだが、「いや、この危機感は共有したほうがよい」と思う人たちも大勢いると報じられていた。現実に世界で蓄えられている核兵器はミサイルに換算すると一万発を軽く超え、発射態勢は完全に整っているともいわれる。▼たとえて言えば、人類は引き金に指をかけた兵士たちが二十四時間にらみ合っている状態で、少し指に力を入れればあっという間に核戦争が始まってしまうというのだから、背筋が寒くなる。人間の歴史を公平に眺めてみて、こんな時代が過去になかったことはたしかで、わずか百年にも満たない間に起きた変化だ。だが、あまりにも恐ろしいことと心配する人を笑えるであろうか。▼もし笑って過ごせるとすれば、現実を見ないで生きている、それが本当ではあるまいか。もちろん絶望のあまり理性を失い、滅茶苦茶な毎日を送るのは正しくない。90億人が一人一人、冷静に現実を見つめ、しかも平安でいる、そうなりたい。