【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「我が至上の愛~アストレとセラドン」:亀戸一丁目バス停付近の会話

2009-01-21 | ★錦25系統(葛西駅~錦糸町駅)

エリック・ロメールも、もう87歳だって。
昔っからおじいちゃんのイメージがあるけど、まだ介護用品の心配はないかな。ちょうどここに福祉の店があるけど。
ない、ない。新作の「我が至上の愛~アストレとセラドン」を観る限り、まだまだ元気ハツラツっていう感じよ。
ああ、いつものロメール節、快調だったな。実にたわいのない話なのに、妙に心に落ち着く。期待を裏切らない、のどかな映画に仕上がっていた。エリック・ロメール、90歳を間近にして、まだまだ健在だった。
5世紀のフランスを舞台にしたささやかな恋愛小話っていうところね。アストレとセラドンという若い恋人たちがちょっとした誤解から仲たがいしてまたもとのさやに納まるまでの、まったく毒気のない物語。
緑したたる自然と白を基調としたコスチュームがとにかく目にまぶしいから、なんでも許す気になってくる。
あの緑!あの白!ほんとに目に焼き付いて離れない。
小鳥のさえずりがチュンチュン聞こえる中で恋人たちの思いがすれ違っても、ほほえましいとしか言いようがない。
うん。アストレからセラドンを奪おうとする美貌のマダムがいつの間にか画面から消えてしまっても、まあ、いいかあ、という気になっちゃう。
自分の恋人が女装して目の前に現れてもまったく気づかないなんていう展開も、そりゃあ、あり得ないだろうと思うんだけど、エリック・ロメールだからいいかあ、と許しちゃいたくなる。
そう。話も映像もすべてがおおらかだから、観ている側までおおらかな気分になってきちゃう。
エリック・ロメールの映画って、どうということもない話を妙に気持ちよく観れちゃうんだよ。天才だな。
ほんとうは「海辺のポーリーヌ」とか「友だちの恋人」とか現代を舞台にした映画のほうがちょっとビターで好きなんだけど、今回の映画も決して憎めない出来だったわ。
本人はこの映画で引退とか宣言しているらしいけど、もっともっと新作を観たいよな。
うん、もし介護用品が必要になったらいくらでも寄付するからね。



この記事、まあまあかなと思ったら、クリックをお願いします。



ふたりが乗ったのは、都バス<錦25系統>
葛西駅前⇒長島町交差点⇒葛西中学校前⇒新川橋⇒三角⇒船堀七丁目⇒陣屋橋⇒船堀中組⇒船堀小学校前⇒船堀駅前⇒船堀一丁目⇒松江第一中学校前⇒東小松川小学校前⇒東小松川二丁目⇒東小松川一丁目⇒京葉交差点⇒小松川警察署前⇒小松川三丁目⇒中川新橋⇒浅間神社⇒亀戸九丁目⇒亀戸七丁目⇒亀戸六丁目⇒水神森⇒亀戸駅通り⇒亀戸一丁目⇒江東車庫前⇒錦糸町駅前







最新の画像もっと見る