動物病院ってたいへんだよなあ。
動物は人間の言うことをきかないからね。
動物をコントロールしようとしても限界がある。リミッツ・オブ・コントロールだ。
それってなんか、意味が違うと思うけど。
いいんだ、ジム・ジャームッシュの映画に意味を求めてもしょうがないんだから。
今回の新作「リミッツ・オブ・コントロール」も、物語を追うというよりは、一瞬一瞬を味わったほうがいいような映画だもんね。
「自分こそ偉大だと思う男を墓場に送れ」という依頼主の言葉だけを頼りに、スペインへ行った殺し屋の物語。それ自体ヘンな話なんだけど、その男の周りを風変りな男女が、入れ替わり立ち代り、現れては消えていく。
それぞれの登場人物が意味ありげな言葉を吐いては消えていく。
おもしろいといえば、おもしろいけど、つまらないといえば、つまらない。
ジム・ジャームッシュの映画って、やっぱり「ストレンジャー・ザン・パラダイス」が鮮烈にして最高傑作だったな。
でも独自の世界観を保っているのはたいしたもんだよ。
エスプレッソを2杯、別々のカップで頼むおかしみなんて、他の監督じゃ考えつかない。
しかも、そういうふつうはどうでもいいような細部に魂が宿っている。
だから、今回も話はおもしろくないかもなあ、と思いながら、ついつい彼の映画には足を運んでしまう。
日本の監督でいえば、資質はまるで違うけど、黒澤清みたいな存在かな。
話がおもしろいかどうかを超えているのよね。
いきなり「宇宙には中心も端もない」なんて言われても意味わかんないんだけど、黒澤清の映画の中でいきなり「全部許す」と言われるようなもので、なぜか心にひっかかる。
そういう企みの総体がジム・ジャームッシュの世界をつくっている。
「ジム・ジャームッシュの映画に行ってきた」っていうだけで、なんか流行の最先端を行っている気分になってしまう。
まるで表参道か六本木にでも行ってきたような気分。
たとえば「男はつらいよを観てきた」じゃあ、そうはならない?
「男はつらいよ」もいい映画なんだけど、柴又だからねえ。
帝釈天じゃあダメか・・・。
ジム・ジャームッシュが撮れば別かもしれないけどね。
それはコントロールの外だな。
リミッツ・オブ・コントロールよ。
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ふたりが乗ったのは、都バス<草63系統>
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エスプレッソを2杯、別々のカップで頼む、っていうのは、ジャームッシュが創作したのではなくて、イザック・ド・バンコレが実際にジャームッシュの前でやったことらしいですー。
結局は意味を見出そうとしてしまった自分がいましたが、それでも「一瞬一瞬の世界」に十分に遊んできました。
考え様によっては(キャスティングなど)、豪華な映画でしたね。ティルダ・スウィントンは好きな女優さんですが、今回、透明なコートをまとうヌードの女の子にかなり惹かれました。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」は未見です。
今後の<お題作>に加えます。
でも、考えてみれば、そういうことをうまく映画の中に取り込んでしまうのが
ジム・ジャームッシュの持ち味でした。
でも、考えてみるとティルダ・スウィントンってまじめな役からふざけた役まで芸域が広いですね。