【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「ゴールデンスランバー」:新橋駅前バス停付近の会話

2010-02-03 | ★市01系統(新橋駅~新橋駅)

お。こんなところで牛タンとは珍しい。
牛タンといえば、仙台よね。この店も仙台にあるお店らしいわよ。
杜の都でモリモリと、牛タン食ったか、永島敏行。
なに、それ?
いや、仙台を舞台にした映画「ゴールデンスランバー」を観たら、永島敏行のモリモリした体がいちばん印象的だったからさ。
「ゴールデンスランバー」は、堺雅人が主演の映画よ。仙台で起きた首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられた宅配業者の男が町中を逃げ回る話。
永島敏行は、彼を追う警察側の一員に過ぎないんだけど、冷徹一筋。ひとことも言葉を発せずにひたすらライフルのような長身の銃をぶっ放す。
背中にナイフを突き立てられても、平然として顔色ひとつ変えない。
まるでターミネーターだ。永島敏行って、昔からあのいかつい体が特徴だったけど、とうとうそれを生かす映画が現れた。彼を主演にしたスピンオフ映画をつくってほしいと思うほどだ。
でも、「ゴールデンスランバー」では脇役の脇役に過ぎない。あくまで、堺雅人が主役の巻き込まれ型サスペンス。
でも、原作が伊坂幸太郎だから、ヒチコック映画みたいに、逃げ回りながら真犯人を見つけていくという展開にはならない。
むしろ、逃げ回る中で、学生時代の仲間たちとの絆を再確認していくという、伊坂幸太郎お得意の人情話になっていく。
かつてのサークルの仲間たちや、ゆきずりの市井の人々が彼を窮地から救っていく。
その中に、竹内結子をはじめとした仲間たちとの懐かしいような、甘酸っぱいようなエピソードがはさまれてくる。
結局、人間、誰かとどこかでつながっている、というノスタルジックな話に収束されてくるんだけど、居心地は悪くない。
中村義洋監督が、いつもながら伊坂幸太郎ワールドのツボを抑えた映画づくりをしているからね。
なにげない会話の端々にしゃれたキーワードを散りばめたり、登場人物たちのさりげない癖や振る舞いを生かして物語を転がしていく技術は、伊坂幸太郎×中村義洋ならではのものだ。
なんか、都合よく善意の人々が現れてタイミングよく助けてくれるっていうふうにも見えるけど、それこそ伊坂幸太郎の描く世界だからね。
その中心にいるのが、堺雅人。なんの裏表もない、単なるあんちゃんなんだけど、こういう人だったら、かえって周りの人々も助けの手を差しのべちゃうかもね、という憎めない役柄になっている。
永島敏行は、それと対極にあるような、血も涙もない人物。
キモカッコいい。
牛タン食べすぎかもね。





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ふたりが乗ったのは、都バス<市01系統>
新橋駅前⇒浜離宮前⇒⇒築地五丁目⇒築地市場正門前⇒国立がんセンター前⇒新橋駅前





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