Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

広上淳一/N響~山田和樹/日本フィル

2018年01月14日 | 音楽
 広上淳一/N響から山田和樹/日本フィルへと梯子した。ともに今年生誕100年のバーンスタインが中心のプログラム。

 広上淳一/N響の1曲目は、バーンスタインの「スラヴァ!(政治的序曲)」。演奏時間約4分の短い曲だが、途中で政治演説のような録音音声がスピーカーから流れる。外国語なので(何語だろう?)、何を言っているかは分からないが、「政治的序曲」と銘打っている所以だろう。音楽そのものは、明るく、楽しく、バーンスタイン一流のエンタテイメント性が豊かな曲。

 2曲目はバーンスタインの「セレナード」。ヴァイオリン独奏は五嶋龍。冒頭、ヴァイオリンが、肩の力を抜いて、スーッと入ってきた。力まず、素直で、おとなしい演奏。考えてみると、わたしは今までこの曲を、渡辺玲子の独奏で聴くことが多かった。渡辺玲子の演奏はもっと尖っていたと思う。

 3曲目はショスタコーヴィチの交響曲第5番。ていねいな音作りが印象的だ。オーケストラの音が、終始一貫、よくまとまり、ずっしりした手応えがある。広上淳一が京都市響で成功した秘訣を垣間見るような思いがした。プロフィールによると、広上淳一は今年5月に還暦を迎えるそうだ。デビュー当時の“やんちゃ坊主”ぶりが目に焼き付いているので、還暦といわれてもピンとこない。

 大急ぎで渋谷から横浜へ移動。山田和樹/日本フィルの1曲目は、バーンスタインの「キャンディード」序曲。音の明るさと活力とが、指揮者の年齢の差を感じさせる。2曲目は「キャンディード」組曲(ハーモン編曲)。

 3曲目はラヴェルの「高雅で感傷的なワルツ」。聴く前は、バーンスタインに挟まれて、なぜラヴェルの曲か?と思ったが、聴いてみると、少しも違和感がなかった。バーンスタインとラヴェルとは、音の明るさとか、エンタテイメント性(あるいは音楽の人工性)とか、共通するものがあり、相性がよいのかもしれないと、新たな発見だった。

 4曲目はバーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」。ピアノ独奏は小曽根真。これが、N響、日本フィルを通して、この日の白眉だった。ピアノもオーケストラも、音に緊張感があり、はっきり焦点の定まった、スリリングな演奏を展開した。

 小曽根真がアンコールを弾いてくれた。バーンスタインの「オン・ザ・タウン」から「サム・アザー・タイム」。嬉しいサービスだった。
(2018.1.13.NHKホール、横浜みなとみらいホール)

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