Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ノリントン/N響&ラザレフ/日本フィル

2013年10月28日 | 音楽
 土曜日は台風27号の影響が危惧された。演奏会を2つ掛け持ちする予定だったので、さて、どうなるかと思っていた。幸いにも首都圏への影響はほとんどなかったので、無事に両方とも聴けた。

 まずN響の定期。指揮はロジャー・ノリントンでオール・ベートーヴェン・プロ。1曲目は序曲「レオノーレ」第3番。途中でホルンが派手に音をはずした。それは仕方ないのだが、演奏終了後ホルン奏者同士でニコニコ語り合っている光景は、申し訳ないが、緊張感が足りないようで――そうではないのかもしれないが――どうかと思った。

 2曲目はピアノ協奏曲第3番(ピアノ独奏はラルス・フォークト)。まず楽器配置に驚いた。ピアノが中央にあり鍵盤を客席に向けている。ピアノ奏者は客席に背を向けて演奏する。ピアノの弾き振りならいいが、ノリントンがいる。では、ノリントンはどこで指揮をするのか。ピアノの先端で椅子に腰かけて指揮をした。客席に向いて指揮をしたわけだ。木管奏者とホルン奏者には背を向けて!

 弦楽器の配置にも驚いた。ピアノを挟んで左側の手前に第1ヴァイオリン、奥にチェロ、右側の手前に第2ヴァイオリン、奥にヴィオラ。全員ノリントンのほうを向いて(客席に背を向けて)演奏した。トランペットとティンパニはヴィオラの後方、ノリントンを斜め後ろから見る位置で演奏した。

 こういう楽器配置だと、木管奏者とホルン奏者はどのように合わせるのか、また客席で聴こえる音はどう変わるのか、それらをつかもうとして、うまくつかめないうちに演奏が終わった観がある。我ながら情けないというか、面白かったというか。

 アンコールにショパンの夜想曲第20番嬰ハ短調が演奏された。完璧にコントロールされた弱音による繊細極まりない演奏。息をつめて聴き入った。

 3曲目は交響曲第5番「運命」。ノリントン・ワールド全開の演奏。もしもベートーヴェンがこれを聴いたら、もじゃもじゃの髪を振り乱して、ライオンのように大笑いするだろうと想像した。

 終演後、横浜へ。日本フィルの横浜定期。ラザレフの指揮でチャイコフスキーの「ロココ風の主題による変奏曲」(チェロ独奏は横坂源)とマーラーの交響曲第9番。マーラーが聴きものだった。まだ発展途上というか、とくに第3楽章まではラザレフの求める音と実際の音とのあいだにギャップがあるのか、強引さが目立った。
(2013.10.26.NHKホール&横浜みなとみらいホール)
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