後期ゴシック彫刻・市民運動・演劇教育

小学校大学教師体験から演劇教育の実践と理論、憲法九条を活かす市民運動の現在、後期ゴシック彫刻の魅力について語る。

〔107〕「福島を忘れない!全国シンポジウム・現地見学」参加は、深く心を揺すぶられた時間でした。

2016年08月23日 | 市民運動
 「第4回 福島を忘れない!全国シンポジウム・現地見学」(反原発自治体議員・市民連盟主催)が、8月20(土)、21日(日)福島県で開かれました。初めての参加になりましたが、もう少し早く時間を作るべきでした。すべての日本人はフクシマの人たちの話を聞き、フクシマの現実を知る必要があるのです。
 朝7時に新宿に集合し、バス1台で福島市に向かいました。参加者は50名弱といったところで、バスはほぼ満席です。参加申し込みが定員オーバーしたため自家用車などで現地に向かう人もいました。
 私がフクシマ以後(2011.3.11)福島県に入るのは3回目です。フクシマ1周年に、郡山の開成山球場で大集会がもたれました。前日のプレイベントには鎌田慧さんやドイツの原子力倫理委員会のメンバーなどの話が聞けました。大江健三郎さんや加藤登紀子さんは、大集会に駆けつけてくれました。
 その翌年だったでしょうか、やはり郡山で、ラボ教育センターのワークショップを開かせてもらいました。
 そして今年、全国シンポジウムもさることながら、フクシマを見たいという思いで、現地見学に惹かれて清瀬の仲間三人と参加したのです。

『第4回 福島を忘れない!全国シンポジウム』の様子は、早速、反原発自治体議員・市民連盟サイトに報告されていました。(多少補足させてもらいました)

■『第4回 福島を忘れない!全国シンポジウム』(反原発自治体議員・市民連盟サイトより2016-08-20)於、ホテル福島グリーンパレス
 20日(土)「 第4回 「 福島を忘れない!全国シンポジウム」を開催。反原発自治体議員・市民連盟を中心に、福島の原発事故被害地域の自治体議員・市民の皆さんにご協力いただいて「全国シンポジウム実行委員会」を立ち上げての開催です。福島を始め、北海道から四国までの様々な地域からの150名の参加がありました

*開会の挨拶 福士敬子(元東京都議会議員)1:30
【講演】浪江町の馬場町長の話。『福島第一原発事故 その時浪江町は』
原発事故の時には、普段はつまらないことまで報告に来ていた東電が、何の報告も情報も持って来なかった。浪江町では、テレビ等の報道で判断して避難や役場の移転を決めた。そして今、町の人口は減っているのに世帯数が急激に増えているということ。避難先の事情で、家族がバラバラになっていくというのです。
【各自治体からの報告】
・菅野清一川俣町議会議員『避難解除地区の現状は』
・小川貴永さん(双葉町 避難者訴訟原告団事務局次長)『原発立地の町村は』
・志田篤川内村議会議員『避難解除の村は』
・金井直子さん(楢葉町 避難者訴訟原告団事務局長)
・木幡ますみ大熊町議会議員『大熊町の現状』
 それぞれの町村の事情によって帰還にはそれぞれ問題があることが分かりました。放射線量が下がったといって、すぐ帰れるわけではないことがよく分かりました。

【記念イベント】として、漫才コンビ「おしどり」マコ&ケン『ふくしまの今』
→東電の記者会見に、興味をもって記録を始めたこと。もっと知りたくて記者会見に参加し始めたこと。今もずっと続けていて、記者も東電社員も人事移動で次々と変わったので、一番の古株になっていること等々。ふくしま関連の興味深い問題を楽しく話していただきました。

*まとめ 柳田真(たんぽぽ舎)
*閉会の言葉 佐藤英行(北海道・岩内町議会議員)4:45

  最後に、次の集会宣言が採択されました。

         集会宣言

 3.11東日本大震災から5年と5ヶ月を超えた本日、第4回「福島を忘れない!全国シンポジウム」を開催しました。北海道から関東・北陸・四国まで県外の自治体議員・市民95名が参加、地元福島から浪江町長をはじめ原発被害自治体議員、ADR原告団、原発告訴団など多数お出でいただき、150名を超すこれまで最大の集いとなりました。
 原発立地自治体の双葉町・大熊町、全村避難の浪江町、避難解除地区の川俣町、避難解除後の楢葉町、川内村の現状報告を受け、放射能汚染による経済的被害と健康被害は増え続け、精神的な苦痛による被害も拡大していることがわかりました。
 東京電力福島第1原発事故による最も過酷な被害は、亡くなった方や家族の自己責任とされ、国と東京電力の加害責任はいまだ不問に付されたままです。原発収束作業や除染作業に膨大な税金が投入されながら、原発事故による被害の補償と賠償責任は不十分なままで、生活を守るには裁判で争う以外ない現状です。しかも、国は居住制限と避難指示解除準備区域の避難指示を段階的に解除し、福島県・国は、自主避難者への住宅無償提供を2017年3月で打ち切り、汚染された故郷への帰還を強制しています。そればかりか東京電力福島第1原発の汚染水対策や廃炉作業が進んでいないにもかかわらず、川内原発に続き伊方原発の再稼働を強行しました。
 本日ここに、地方自治体議員と市民は、「福島を忘れない」原点を再確認し、福島の原発事故被害自治体議員・被害者と手をつなぎ、国と東京電力の責任を厳しく問うことを誓いました。
 住む場所を奪われ暮らしをおびやかされ、先祖代々のふるさとに帰れない悲劇を、他の原発立地自治体で繰り返してはなりません。熊本地震が示す切迫する大地震・津波・火山の大爆発の危機に、全国の自治体議員と市民は、福島から学び福島で闘う議員・市民と手を結び、全世界の原発に反対する人々とともに、原発を止めるために力を尽します。
 私たちは、ふるさとを守り、子どもたちの未来を守るため、福島を忘れず、原発再稼働に反対し、原発に頼らない社会を自治体から、全国の地域からめざすことをここに宣言します。
       2016年8月20日
            第4回福島を忘れない!全国シンポジウム参加者一同

 原発被害者自治体議員・原告団との交流と懇親会(5:00~7:30)にも参加して、旧交を温めることもできました。
そして次の日、福島の原発、津波の「爪痕」を案内してもらいました。バスに同乗して地域の様子、3.11の当日やその後の人々の様子を詳しく語ってくれたのは前日もシンポジウムで話をしてくれた木幡ますみ大熊町議会議員でした。ユーモアを交えながら、したたかに明るく、しぶとく闘っている新人議員です。3.11の数日前にも、地震があったので原発は止めてほしいと電話をしたというのです。筋金入りの反原発論者です。
  下掲したのは見学の予定表です。現地参加者と東京からの参加者のバス2台を連ねての見学でした。

8月21日、福島現地見学行程表

*現地(郡山中央交通)先行車に、東京からのバス1台が続きます。
7:30  福島グリーンパレス出発
8:30  飯館村役場(村会議員の説明)
9:30  南相馬市道の駅(トイレ休憩)水の確保
10:00 出発
10:30 浪江町請戸浜視察(教育委員会横山さんの話)
12:30 浪江町役場(役場隣の体育館横に仮設トイレあり)
14:15 四倉道の駅(昼食休憩・トイレ)
15:00 出発
16:30 福島駅前着 解散

 飯館村は確かに「日本で一番美しい村」かも知れません。しかし、豊かな木々が生い茂る山間の道を抜けると、そこに無残なフレコンパックの山です。3段から5段に積まれ、それを覆い隠すグリーンシートとフェンス、普通車からは見えないが、バスからはもろ見えです。3年しかもたないといわれているフレコンパックは、この先どう処理するのでしょう。 
  浪江町請戸浜の視察は深く心に残るものでした。かつて小学校の教師で、現在は教育委員会に勤めている横山さんは、あの津波でご両親を亡くしています。お連れ合いや娘さんはまさに九死に一生を得ました。教師としてまずは子どもたちの安全を図り、我が子のことは後回しだったことを語りました。
 1階は崩壊して柱だけ残り、2階はほぼ完全な形で残っている建物が所々に散在しています。請戸小学校もまさにその状態で建っています。横山さんの娘さんはこの時ここの6年生だったそうです。今後この地域は住居不可ということになるということでした。
 河合弘之弁護士が中心で作った映画「日本と原発 4年後」の大きなテーマの1つは請戸地区の問題でした。「助けてくれ!」という叫び声を聞きながら原発の崩壊ということで退去命令が下り、泣く泣くその場を去らなくてはならなかった事実、自衛隊が完全武装で現れたときのショックと戸惑いということが描かれていました。同じことを横山さんも語っていました。 
  この請戸の浜からは福島原発第1号機が見えるのです。わずか4キロ先に霞んで見えました。
  国道6号線を南下して、福島第1原発の脇をすり抜けていきます。ここ10キロぐらいは、自動車の通行のみ可能という地域です。福島第1原発の脇に近づくにつれて放射能の線量がどんどん上がっていくのです。バスの中で6ミリシ-ベルトを記録したのです。東京などでは、0.05ミリシ-ベルトということですから、100倍の線量ということになります。しかしこれはあくまでバスの中での数値です。自動車の通行のみ可能というこの区間の所々に若い警察官が立っているのです。木幡さんは盛んに彼らのからだを心配していました。
 福島第一原発から数キロの四倉道の駅で昼食を摂り、一路東京に向かったのでした。
  実はこの日未明に、 経産省前テントが強制撤去されました。数人は新宿から直行したのでした。

  来年の「第5回 福島を忘れない!全国シンポジウム・現地見学」は、2017年7月16日、17日に決定しました。日本人として1度はフクシマを体験してほしいと思います。

■参考文献、『福島原発の町と村』布施哲也、七つ森書館、2011年、原発メルトダウンの年の暮れに書き上げた労作です。著者は反原発自治体議員・市民連盟の言い出しっぺの一人。
■NHK論説委員による原発討論です。NHKも少し見直しました。
「どこに向かう 日本の原子力政策」総合 8月26日(金) 午後11時55分~午前0時49分
出演 司会:西川吉郎解説委員長、小林恵子 島田敏男・板垣信幸・関口博之・竹田忠・水野倫之・髙橋祐介 各解説委員
http://www.dailymotion.com/video/x4ql7be_%25E3%2581%25A9%25E3%2581%2593%25E3%2581%25AB%25E5%2590%2591%25E3%2581%258B%25E3%2581%2586%25E6%2597%25A5%25E6%259C%25AC%25E3%2581%25AE%25E5%258E%259F%25E5%25AD%2590%25E5%258A%259B%25E6%2594%25BF%25E7%25AD%2596_tv