下道を走ったつもりが、いつしか高速を走ってた
4車線道路の右2車線が高速への誘導路だとは全く分からなかった
ナビ通り走ったつもりなのに・・・
奈良に入って葛城/金剛山系に雪が舞っているのが見えた
この1000m級の山並みを何度も見て育った私には、他の山並みよりもやはり懐かしい
墓参りを先に済ませて田舎に戻った
中庭に車を乗り入れると犬が吼えた
私が大好きな犬、犬も私のことが大好き
でも、いつ車を乗り入れても吼えた
ハナと声をかけると、お腹を地面にくっつけ耳を寝かせ細い目をしながらクンクンと喉を鳴らした
そしてシッポを勢い良く振った
そんな仕草を見ると切ないくらい嬉しくなった
ほぼ1年ぶりの再会だった・・・
私だと気付いた犬はとても嬉しそう
そんな仕草をするハナを見るのが私も好きだ
犬を散歩に連れ出した
東側遠くに三輪山、北には春日山や若草山、生駒山、西には二上山、葛城山、金剛山、南には吉野の山々が見える
この風景は歳を重ねてもやはり愛着がある
散歩から帰り、家の玄関の庭木周りを掃除した
犬は私の周りから離れようとしない
そのあと、恒例のおふくろへのあんま
おふくろは、いつも上手上手と褒めてくれる
こんなことしか親孝行できないのは心苦しいのだが、おふくろの嬉しそうな後ろ姿を見てると、ここまで育ててくれた母親への感謝の気持が心の中いっぱいに広がった
夕食は近所に居る二番目の兄貴も来てアンコウ鍋
ビール、焼酎、チューハイ・・・何本開けたのか分からなくなるくらい呑んだ
久し振りの兄弟揃っての団欒だった
布団に入ったものの強風に雨戸が揺れた
雨戸の音、風の音で何度も目が醒めた
この冬一番の寒気到来だった
犬も淋しくてクンクンと鳴いているのが聞こえた
眠れたのか眠れなかったのか、はっきりしないまま朝になった
家の住人はまだ誰も起きてこない
まだ薄暗い中、妻と犬と一緒に散歩に出掛けた
寒いーーー!!
散歩途中に二番目の兄貴宅へ寄り、しばらくして家に戻った
朝食のあと、裏庭の木の伐採
金木犀2本とピンク色のサザンカ1本
兄貴に「このサザンカを切ってしまうの?」と訊くと「うん、そうや」
「ええっー!こんなん切ってしもたらかわいそうやん!」と残すように説得した
だけど、そのサザンカがある場所はどうしても開けたい模様
何とかサザンカの命は助かり、別の場所に移植することになった
だけど、根が張ったサザンカを移植するのは大変な作業だった
途中からフォークリフトで持ち上げることになったが、フォークリフトのタイヤが土にめり込み身動き不能に・・・
近所のフォークリフトを使ってフォークリフトを引っ張り出す始末
そんな折、犬がえんどう豆の網に引っかかりキャンキャンと気が狂ったように吠え出した
歯を剥き出しながら必死に抜け出そうともがいた
もがけばもがくほど網が絡まった
犬を落ち着かせようと手を出したとき犬の牙が私の軍手を貫通した
それに堪え、犬の名前を呼びながら、犬の目をじっと見ながら落ちつかせた
「はさみを持って来て!」と頼んで絡まった網を切ってもらった
軍手に血が滲んできた
左手5箇所の歯型から血が出ていた
水道でさっと洗い流し消毒をした
犬はすっかり意気消沈し私の顔をじっと見れないでいた
「バカモン!」と犬に一喝
犬にとっては災難だったのだろうが、それにしても大晦日に犬に噛まれるとは・・・・
サザンカを別の場所へ持って行って植えた
来年、綺麗な花を咲かせてくれるだろうか?
兄貴は「これ○○のサンザンカや」と私の名前を命名してくれた
絆創膏を貼ったが血が止まらない・・・
念のために病院へ
大晦日の病院なんて対応してくれる所は限られている
何とか救急対応の病院へ連れて行ってもらって応急処置
注射までは要らないだろうと抗生物質の錠剤と塗り薬を貰って家に戻った
まだ金木犀の伐採が残っている
血が止まらないが、兄貴と一緒にせっせと伐採して終了!
疲れたー
・・・・
犬の顔を見た
今度は鎖で繋がれてしまって私のところには近付けない
犬はクンクンワンワンと淋しそうに私の顔を見た
頭を撫でてあげた
「じゃ、帰るよ」
また、クンクンワンワンと吼えた
中庭に停めてた車を玄関まで移動してもらった
私が車に乗ってしまうと淋しさのあまり気が狂ったように吼えるからだ
いつも私が居なくなった日は一晩中クンクンと泣いているらしい
また今度帰省したら散歩に連れて行ってあげるからな・・・
それにしても、どうしてあんあに私のことが好きなんだろう?
年に1度、多くて2度しか帰らないのに
実家の住人もみんな不思議がってる
犬に好かれる何かが身体に宿っているのか??
帰省からもう半月過ぎた
犬が噛んだ傷跡は、まだ少し腫れたまま
その傷跡を見る度に犬のことを思い出す