平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

ジャクソン選手の課題

2016-11-17 00:45:15 | バレーボール
日立リヴァーレに新加入したジャクソン選手。2013年秋のグラチャンバレーにアメリカ代表として参加。日本代表だった佐藤あり紗さんとの対決はありませんでしたが、こうしてチームメイトとなるのも縁 (;^ω^)

Vプレミアリーグの今シーズン序盤は、選手の勢力図がガラリと変わり、日立リヴァーレの遠井選手や、岡山シーガルズの佐々木選手が個人ランキングのアタック部門で上位。五輪組は軒並み成績が悪く、久光の長岡選手が奮闘しているのが目立つ程度。

東レのアタッカーの木村、迫田両選手、セッターの田代選手も低調。NECの島村選手と、代表落ちした古賀選手も目立たない。岡山の山口舞選手は問題外で、宮下選手は相変わらず肝心な時にトスが乱れる。久光の石井選手もパッとしない。トヨタ車体の荒木選手はミスが多く、試合時間が長くなるとスタミナが切れるから、チャレンジシステムを悪利用して息を入れている。ブロッカーがワンタッチに気が付かないわけ茄子 (;´Д`)

日立リヴァーレのリベロの佐藤あり紗さんは、連携ミスや判断ミスはあるものの、ディグは流石と思わせる動きをしています。これからもっと良くなるはず。岡山戦で井上選手と渡邉選手が外れて、一年目の芳賀選手と長内選手が活躍。昨年の課題だった若手選手の底上げが出来てきました。しかし、ミドルブロッカーのパオリーニの抜けた穴は塞がっていません。新加入のジャクソン選手のブロックは身長の割に少ない。

ジャクソン選手は真面目で、囮として跳ぶのも手抜きしません。だから、疲れて呼吸が荒くなるほどの運動量でチームに貢献している形です。でも、センタープレーヤーとしては満足できていないと思います。本来可能なパフォーマンスの60%程度しか出せていない。

ジャクソン選手はなぜ、ブロックとブロードでパオリーニのように活躍できないのか。10センチの身長差だけが理由ではありません。ブロックもブロードも、フォームが崩れて、体の重心が後ろにかかっているのがタイミングが合わない理由です。

以前に、セッターの佐藤美弥さんのサーブを紹介したことがあります→佐藤美弥の天才。えげつないとNECの鳥越選手に評されたミャーサーブ。このサーブは、独特な体の使い方から生まれています。着地時に、体が棒のようになって斜めに突き刺さる感じがあります。陸上の槍投げで、槍が垂直ではなく、斜めに突き刺さるのと同じ。佐藤美弥という棒が斜めに飛んでいる。体の部位で一番重い頭部と、重心の中心となる腰が直線上で固定され、長い足をリードにして一本の棒のように動作する。重心が放物線を描いているから、頭がぶれずにボールの中心を叩くことが出来る。しかも、放物線を描く体重が適度にボールに圧力をかけるから、ボールを叩く時に力む必要もない。実に理にかなったフォームです。

実は、ジャクソン選手のアタックもブロックも、佐藤美弥さんのサーブと同じように、体を斜めの棒のように使っています。サーブならこれでよいのですが、特にブロードのアタックではボールに体重が乗らない。手打ちになるのでボールを強く叩けない。重心が後ろに残るので、腕の振りが大きくなって、相手ブロッカーが間に合ってしまう。だから、よほど打点が高くないと相手のブロックに引っかかるか、力のないアタックボールが容易にレシーブされてしまう。ブロックでもネットから遠くなる。


1歩が1.4m程度と大股すぎる (*_*;


重心が後ろ過ぎて危なっかしい




開幕戦でのジャクソン選手のブロード 着地の時に斜めになっている
ボールに力が伝わってない



右腕の振りもコンパクトにしたい


こんなに右膝を上げなくても
大事なのは右腰のひねりと右足のキック



別角度 動きはブロード、ボールを叩く位置はCクイックに近い (^_^;)
ブロードなのかCクイックなのか判断に迷う久光のブロック陣
頭、腰、軸足が一本の線になっていない
軸足(左足)は頭と腰を結んだライン上に来るのが理想


ミドルブロッカー=センタープレーヤーに求められるスピードは半端でなく、ジャクソン選手の体の使い方では限界が有るのです。では、具体的にどこを修正すれば良くなるのか。修正ポイントは、踏み切りの時に極端に振り上げる右膝にあります。ジャクソン選手は、長い足の膝を胸に付くほど振り上げています。この反動でジャンプするのですが、振り上げた膝と右足がアタックの邪魔になっているのです。足が長い分、日本人選手のように右足を最後に蹴るフォームは難しい。ブロードは、右足で蹴ることでボールに力を加える。これが出来ない選手は、上半身だけの手打ちになるので力がなくなる。近代バレーに必要なスピードも足りなくなる。

昨年まで日立でプレーしたパオリーニ選手は、調子の良い時は足さばきもコンパクトで無駄な動きをしない。ジャクソン選手と一番違うのは体重が後ろに残らないことです。


意外にステップ幅は小さい
Cに近いから軸足の1歩目はセッターのかなり前になる





右足の猫キックがポイント
振り上げた右足を斜め後ろに小さく蹴ることで腰のひねりが生まれる



腰が十分に入っている(捻られている)から余裕で相手が見えている




パオリーニ 2015皇后杯 ちゃんと体重がボールに乗っている




右膝を軽く持ち上げて


小さく右足の猫キック


体に真っ直ぐな軸ができている


野球の投手のリリースと同じ下半身と上半身のバランス


パオリーニ 2015 着地の時に斜めになっていない

ジャクソン選手の身長は187センチでリーチも長い。ジャンプ力もあるのだから、無理して右膝を振り上げなくても高い打点で勝負できるはず。長い足で大股に走るステップも改善が必要。ブロードの場合はセッターの真後ろ(トスするセッターの左サイド)で軸足が1歩目を踏む。3歩目の軸足でジャンプ。これだけ注意すれば、大股に走らなくても、軽いステップでもブロード攻撃に必要なスピードとジャンプは確保できます。コンパクトなステップとコンパクトな動作で右足の蹴りを導く。これで腰のひねりも楽になり、アタックに余裕が生まれるはず。

ジャクソン選手のように、ブロード攻撃の着地時に斜めになるのはJTの奥村選手も同じ。奥村選手はブロックは良いのですが、攻撃面は物足らない。今年は随分と進歩したように見えましたが、静止画で確認すると、ジャクソン選手と同じ課題が見えてきます。奥村選手は体の割に大股で、吉原知子監督の現役時代とはタイプが違う→動画 92年 日立ベルフィーユ対イトーヨーカドー(吉原選手のラリー中2本の一人時間差ステップワークが見られる)


ステップ幅が広すぎて軸足の1歩目がセッターの真後ろ(セッター左サイド)に来ない
軸足1歩目をセッターのインライン(トスするセッターの左サイド)に固定するとトスとの距離感が一定となる
Cクイックの時は2歩目の右足の位置を意識する









JT 奥村選手 2016サマーリーグ




やはり斜めに着地


JT 奥村選手 2016 トヨタ車体戦
最後に右足が前に出るのはバランスが悪い証拠


以下、ブロードのステップで参考になるKUROBEの宮城選手↓


セッターの左サイドに軸足の1歩目を置く
セッターがネットに直角なら1歩目は相手から見えない



2歩目の右足で微調整


3歩目の左軸足でジャンプ


以上、KUROBEの宮城選手のラリー中のブロード
宮城選手もジャンプしてからの猫キックと腰の捻りに課題


なお、画像解析は、ダゾンの動画をキャプチャして送ってもらって、それをコマ送り再生するために更に動画フォーマット変換。これに6時間。コマ送り再生しながら、キャプチャして、その画像が今回のJTの奥村選手とジャクソン選手。本当はこれを下敷きにIllustratorで比較画像の制作。このように大変な作業なので、今回のような方法でお茶を濁すことにします。相済みません m(_ _)m
コメント (6)
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