平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

ピッチングの基本

2010-06-07 19:24:38 | Weblog
 僕は一歳の時に、玄関の敷居をまたごうとして転倒し、左股関節の脱臼による開脚不全、左手の発達障害と親指と薬指の脱臼癖を生じ、走る事と左手を使うスポーツが苦手になりました。キャッチボールでも、グラブを填めている左手が付いてこれないのです。

 それでも小学校の半ば頃から、家の庭が広かったので、30㎝四方のドブ板を斜めに立て、ストライクなら手元に返ってくるようにして、黙々とピッチング練習を続けました。その甲斐あって、空き缶に当てるくらいは楽勝のコントロールで、体が柔らかかったのでサブマリン投球も地面すれすれで出来ました。高校までの10年間は日課だったので、芸大の草野球で実戦デビューしたときは、ハイヒールを履いてパーフェクトの実力です。

 僕の投球理論に、「ハイヒールで投げられる体のバランス」というのがあります。歩くのに不自由なハイヒールは、投手に必要な重心移動の上手下手が露骨に現れるのです。僕は、浮いている小舟の上からも、または平均台の上からも投げられるバランスを持っていました。だからこそ、ハイヒールでもオーバースローとアンダースローで投げられたのです。今のプロ野球選手は全滅だと思います。

 投球というのは、投球理論と体のバランスで成り立つ訳ですが、アメリカの選手を見て分かるように、フォームがぎこちなくても速い球は投げられます。しかしコントロールは付いてきません。というのも、剛球を投げるフォームというのは、投球理論の欠陥で成り立っているからなのです。以前は150キロをバンバン投げていた、スワローズの石井投手で説明しましょう。



 一枚目の画像ですが、石井投手のフリーレッグがピンと伸びて、セカンドの方を向いています。これが第一の欠点です。フリーレッグは、絶対に膝を伸ばしてはならないし、また二枚目の画像↓のように振り回してもダメなのです。フリーレッグは、時計の振り子のように、セカンドベースとキャッチャーミットを結んだ線上を前後移動するのが理想です。アンダースローの投手に多い足の運びですが、これがアンダースロー投手のコントロールが良い理由なのです。



 フリーレッグを振り回すというと、レッドソックスの松坂投手ですが、振り回すのでコントロールが悪くなるのです。また、フリーレッグをピンと伸ばすと、バランスを取るために無駄な力が必要になるので、そのしわ寄せが肩や肘に掛かり、疲れたときに故障に至ります。松坂、ソフトバンク斉藤、スワローズ石井がその典型です。

 また、フリーレッグ着地の直前に、爪先を上にあげるタイプの伸ばし方があります。キャッチャーから足の裏が見える投げ方です。往年の剛速球投手・ドラゴンズ小松や、スワローズの川島亮がこのタイプで、肩が100%故障する投げ方です。これも、爪先を上に向けるという無駄な力が、上半身の力みとなって肩に負担を与えているのです。

 投球というものは、回転力を直線運動に変える「ハンマー投げ理論」ではなく、シナリの積み重ねが先端スピードを生む「鞭(ムチ)の理論」で説明しなくてはなりません。鞭の理論とは、芸大のコンニャク体操で教わったもので、力を抜く事で先端スピードが速くなるという副産物もあります。投手の腕も、ドアのような回転ではなく、脚・腰・胸・肩・肘・手首という順番でシナリ、ムチのように使うのが理想なのです。この理想運動の初めが、フリーレッグの前後運動なのです。フリーレッグを振り回したら、腕をムチのように使う事は出来ません。

 石井投手の三つ目の欠点は、ボールをリリースする直前に、踏み出した脚が伸びてしまう事です↓画像3。この不自然な脚の伸びですが、実は剛速球を投げる投手に固有の運動なのです。その理由をフィギュアスケートの回転で説明しましょう。



 フィギュアスケートで回転中にスピードを上げる技術があります。この原理は、回転軸の太さを変える事にあるのです。腕や肘を広めにして回転している最中に、瞬時に腕や肘を絞って軸を細くします。すると、物理の法則で回転スピードが増すのです。五円玉に紐を付けて振り回し、紐の途中にポスト(柱)を持って行けば、紐とポストが接触した瞬間に五円玉のスピードが上がってポストに絡まります。

 剛速球投手も、同じ原理で球を速くしているのです。着地した脚を一直線に伸ばす事によってポストになり、前方への体の動きにブレーキをかけ、その結果として肩を含めた上半身のスピードが上がるのです。もちろん、体への負担は大きくなるので、スワローズ出身の五十嵐、両石井、荒木コーチ、などなど全員が故障しています。特に、ライオンズに在籍中の石井一久は典型的なブレーキ投法です。

 理想的な投球フォームとは、①ボールを卵のように軽く握る(手首と肘が柔らかくなる)、②脚を上げるときに後ろに反らない、③上げた脚は振り回さずに前後運動、④踏み出す脚は地を擦るように、また絶対にピンと伸ばさない、⑤フリーレッグを踏み出す際、グラブを填めた手とボールを握った手は、体を軸に線対称に踊るような感じで広げる(ネズミ男の威嚇ポーズ)、⑥カーブ系の変化球を投げるときは、小指を立てるくらい力を抜く(①と同じ理由)、などなど。

 ⑤の説明として、先の二枚目の画像は、一塁側ベンチに向かって投げるシーンとして見れば良いのです。踏み出す脚・体の軸・ボールが一直線上にあるでしょう。ところが、カメラの位置からも握ったボールが見えているように、無駄に体を捻りすぎているのです。フリーレッグを前後運動させる投げ方では、バッターから握ったボールが見える事はありません。天才バッターの青田昇は、バッティングもピッチングも同じと説明していましたが、この踊るような仕草はイチローのバッティングにも見えますね。

 スワローズの石井投手は故障後に復帰できません。その理由は、剛速球を投げるフォームそのままで、投球スタイルを変えようとしているからです。コントロール重視のスタイルに変身するなら、フリーレッグの振り回しと、体の無駄な捻りを捨てて、最初から最後まで脚が伸びる瞬間がゼロのフォームを作るしかありません。能の役者のように膝はいつも曲がっているフォーム。これが出来たら、広島時代の江夏のように、136キロが150キロに見えるでしょう。

参考 石井選手投球フォーム
http://www.youtube.com/watch?v=lDgvT9mO02A

      エフライム工房 平御幸
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