名古屋を出て以来、松坂ではじめてまとまった乗客がありました。ここまで近鉄で来る人も多いのかも知れません。
参宮線が分岐する多気を過ぎると、志摩半島の付け根部分の山越えに入ります。
紀伊半島は標高の高い山はありませんが、地形は険しく、特にリアス式海岸の東側ではトンネルとカーブの連続する勾配路線となりますが、高出力のキハ85系は苦もなく進んで行きます。
荷坂峠を抜けて下りになると、伊勢から紀伊の国に入ります。しかし県で言うと三重県のままで、やがて海が見えて紀伊長島に到着します。海に浮かぶいかだは牡蠣の養殖でしょうか。
ここからは景色の良いリアス式海岸沿いを進みますが、あいにくの雨です。雨の中日本有数の多雨地域の尾鷲、熊野市と進みます。
熊野市を過ぎるとリアス式海岸は終わり、七里御浜という海岸沿いを進みますが、海沿の国道より一段低いところを走るため、まったく海は見えません。
そして雨で増水した熊野川を鉄橋で渡ると和歌山県に入り新宮に到着。ここで途中下車します。
新宮は、熊野速玉大社(新宮)が地名の由来で、南紀地方の中心都市です。紀勢本線もここまでがJR東海で、この先はJR西日本で、電化区間となり大阪からの特急の終点でもあります。
駅名表示もオレンジから青に変わります。
駅から熊野速玉大社までは歩いて約20分とのこと、雨も小降りになってきたので、歩いて向かいます。
途中、街の中心部にあるのが天然記念物の「浮島の森」です。
ここは、沼の中に植物が堆積した浮島があり、木々が茂っている状態で、昔は沼が広く浮島が沼を移動していたそうです。今では沼が埋め立てられ動くことはないそうですが、浮いてはいるようです。
遊歩道を進むと島の中に入ることができますが、ジャングルのようです。雨の日に歩くのはちょっと大変です。
「浮島の森」からさらに歩いて熊野速玉大社へ向かいます。
しかし、なんとも寂れた感じの街です。中心部にオークワというスーパーがあり、この周辺は比較的にぎわっているようですが、近くにある長いアーケード通りは活気を感じません。きっと、この通りは、昔は駅から速玉大社への参詣客でたいそうにぎわったのでしょう。
いまは世界遺産登録で熊野古道は脚光を浴びていますが、観光客のほとんどはバスで観光名所に直接乗りつけるため、街中の活性化にはつながっていないのではない野かもしれません。
ほどなく熊野速玉大社に到着。参道にみやげ物店などは一切なく、静かな雰囲気です。
それほど敷地は大きくはありません。
ご神木のナギの木。
ここの見所はなんといっても神宝館です。それほど大きくない建物の中に、特に湿度等も管理されていない状態で国宝が無造作に展示されています。
再び新宮駅に戻り、紀伊勝浦に向かいます。
JR西日本283系が待機中です。
しかし、これに乗るわけではなく、ここからは各駅停車で向かいます。国鉄時代に製造された105系です。JR西日本は物持ちが良いです。
海沿いを進んで紀伊勝浦に到着。
<その3につづく>