縫い物
この版画を見つけた時は本当に嬉しかった。
40代くらいの女性店主の店で、箱の中にいっぱいあった中から
文字通り掘り出してきたものだ。
紙類のものは、たいてい箱の中に重ねてしまわれているので、
それを一枚ずつ鑑賞しながらめくり、お目当てのものを探す
ことになる。
何が出て来るか分からない、、次は何だろう、、
これがたまらなく楽しいのである。
そんな楽しみの最中にハッと出会ったのがこの版画である。
明治31年、宮川春汀の有喜世の華(うきよのはな)美人画
シリーズの内のこれは「縫い物」。
開け放たれた縁側から時折涼しい風が入る居間。
まだ夏模様の襖。
そして着物には、秋海棠が描かれている。
夏と秋が混在するちょうど今頃。
赤くて可愛い着物を縫っている。
娘さんのものだろうか、、、
あたりはシーンとしていて、チクチクと縫っている音が聞こえる、
そんな一コマである。
前回の大石神社の骨董市では、明治の戦記物がほとんどだった。
戦記物のコレクターにはお宝だが、私はやはり人物や花などの
優しく美しいものが欲しい。
いつかまた、ハッとしてグーなものに出会えるのを楽しみにしよう。
*また明日お会いしましょう。
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