私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

今日は異邦人気分/ジョルジュ・ムスタキの世界

2015年12月12日 | 思うこと

~ 私の孤独 ~

私の孤独と一緒に

しばしばよく眠ったものだから

私は私の孤独をほとんど友達みたいに

甘美な習慣みたいにしてしまった

彼女は影のように忠実に

私から一歩も離れようとしない

あちこち世界のすみずみまで

私につきまとった

いや私はひとりぼっちじゃない

私の孤独と一緒だから

~ * ~ * ~ * ~

ジョルジュ・ムスタキ (1934年~2013年)
亡命中のギリシャ系ユダヤ人の両親の元でエジプトに生れ、
17歳でフランス、パリに渡りシンガーソングライターとして生きた。

彼は生れながらの放浪者であり、どこに行っても異邦人だった。
自身でも「僕は変な外人、ギリシャ風の牧人で、さすらいのユダヤ人、、」と歌っている。

~ * ~ * ~ * ~

私がジョルジュ・ムスタキを知ったのは二十歳過ぎの頃、
一人暮らしの中で、ある時は孤独を楽しみ、ある時には孤独に苛まれた。
そんな時にラジオから流れてきたのが「私の孤独」だった。

その静かにつぶやくような歌声は私の存在の全てを包み込み、
孤独な魂をやさしくほぐしてくれたのだった。

その感情はすっかり忘れていたが、今日はそれをふっと思い出したのである。


※写真はポリドールレコードLPジャケットより



コメント (2)
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