『愚か者死すべし』(原 寮 早川書房)
冒頭、探偵が事務所に戻ってくる。ドアを開ける。
「どこかに挟んであった二つ折りの薄茶色のメモ用紙が、翅(はね)を動かすのも面倒くさくなった厭世主義の蛾のように落ちてきた」(5ページ2行目)
こうした比喩を楽しめる人と楽しめない人がいるが、残念ながら俺は後者だ。
心象を書かず行動のみ記述するという、いわゆるハードボイルド小説のスタイルを取りながら、どうして蛾を擬人化して、その人生観(?)まで言及しなければならないか、はなはだ理解に苦しむ。
あるいは、書き出しにそれを持ってくるのは、これから始まるのは、「厭世主義の蛾」が登場するような人を食った話ですよ、という著者の執筆への姿勢を明らかにしたものなのかとも思ったが、その後こうした比喩はまったく出てこない。
とここまで書いてきて、嫌になってきた。誰の何のためにもならない。こんな「ハードボイルド小説」を読むと、いかに大沢在昌が優れているか、よくわかる。
(敬称略)
冒頭、探偵が事務所に戻ってくる。ドアを開ける。
「どこかに挟んであった二つ折りの薄茶色のメモ用紙が、翅(はね)を動かすのも面倒くさくなった厭世主義の蛾のように落ちてきた」(5ページ2行目)
こうした比喩を楽しめる人と楽しめない人がいるが、残念ながら俺は後者だ。
心象を書かず行動のみ記述するという、いわゆるハードボイルド小説のスタイルを取りながら、どうして蛾を擬人化して、その人生観(?)まで言及しなければならないか、はなはだ理解に苦しむ。
あるいは、書き出しにそれを持ってくるのは、これから始まるのは、「厭世主義の蛾」が登場するような人を食った話ですよ、という著者の執筆への姿勢を明らかにしたものなのかとも思ったが、その後こうした比喩はまったく出てこない。
とここまで書いてきて、嫌になってきた。誰の何のためにもならない。こんな「ハードボイルド小説」を読むと、いかに大沢在昌が優れているか、よくわかる。
(敬称略)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます