コタツ評論

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今週のBJかつGJ

2019-05-06 01:32:00 | 政治
TBSの日曜8時から放映のサンデーモーニングはよく視ている。張本勲が「アッパレ!」や「喝!」を入れるスポーツコーナーを楽しみにしているからだ。

この「サンモニ」はいわゆるネトウヨ諸君から、反日番組と目の敵にされているように、リベラルな見方や主張で知られている。

だが、私はかねてから、「反日」的な姿勢はもちろんのこと、リベラルとも思ったことは一度もない。せいぜいがリベラル層への「ガス抜き」効果を狙った番組作りと思ってきた。

その好例が以下のような名物企画<黒板解説>だろう。

サンデーモーニング 19年5月5日放送 黒板解説「女性天皇」


板書は、小泉政権や野田民主党政権で、「女系・女系天皇」や「女性宮家の創設」について「論議された」のすぐ下に、「⇒政治の不作為」とある。つまり、板書を読んだ人は小泉・野田政権の「決められない政治」という印象をまず抱くだろう。

付随するコメント解説では、<女系天皇>とは「母方が皇室の血筋」と解説しても、なぜか、<男系天皇>が「父方が皇室の血筋」とは教えてくれない。現在の皇室典範に則った<男系天皇>が「父方が皇室の血筋」なら、<女系天皇>とは「母方が皇室の血筋」という順序で解説する方がわかりやすいはずだ。印象はいささか違ってくるだろうが。

続けて、小泉政権や野田民主党政権で<女性・女系天皇や女性宮家の創設>について論議されたが、秋篠宮家に悠仁殿下が誕生されたことや安倍政権になったことから「立ち消えになった」、<女性・女系天皇>や<女性宮家の創設>には「安倍首相自身が消極的だ」と松原コメンテーターは云う。

ならばなぜ、そう板書しないのか? <女性・女系天皇>や<女性宮家の創設>の議論が立ち消えになった背景には、悠仁殿下の誕生と安倍首相の姿勢にあると。松原氏は記者のくせに、肝心なことは原稿に書かないのだろうか(ちなみに、TV記者も山ほど原稿を書くのである。放送局名が印刷された専用の原稿用紙に)。

14年も前の小泉政権や7年前の野田政権がどうだったかは書いても、現在の安倍政権の立場や姿勢については板書に出さない。「安倍首相自身は<女性・女系天皇や女性宮家の創設>には消極的だ」と断言しながら、安倍首相は反対している、男系天皇を維持したがっているとは云わない。なぜだろうか?

誰しもすぐに思い浮かぶのは、父方の血筋優先、男子継承に対する、女性視聴者、主婦層の反発に配慮したからではないかということだ。誰のため、何のために、反発を畏れるのか? 云うまでもないだろう。

また、黒板解説「女性天皇」とタイトルしながら、やはりかんじんなことは書きもしないし、云いもしない。世論調査で過半数の国民がイメージする<女性天皇>とは、現徳仁天皇の長女である愛子様以外にあり得ないのに、それについては一切触れない。

その一方で、冒頭で秋篠宮殿下の「兄が80歳のとき、私は70代半ば。それからはできないです」という、およそ20年先について語った言葉を引く。あきらかに悠仁親王が実質的には第一位の皇位継承者であるという話だ。

徳仁天皇が即位したばかりだが、皇室典範に則った男系天皇としては実質的には次期天皇は悠仁親王に限られると印象させる談話でもある。とすれば、皇位継承者も一人しかいないということになり、それでは皇統が絶える恐れもあるから、<女性・女系天皇や女性宮家の創設>が必要だという理屈だ。

しかし、皇室典範を書き換えて女系天皇も可としなくとも、そのために女性宮家を創設しなくとも、男系の皇統を引く愛子様という女性天皇はあり得るのだ。第33代推古天皇以来、愛子様のような「父方が天皇の血筋」である男系女性天皇の先例はいくつもあった。

悠仁殿下の誕生と安倍首相の消極的姿勢のおかげで、「立ち消えになった」のは、何より誰より愛子様の「女性天皇」だった。そのことをまるで隠蔽したいかのように、まったく触れない。

14年前の小泉政権、7年前の野田民主党政権を「⇒政治の不作為」と批判し、秋篠宮殿下と共に20年先を憂い、<女性・女系天皇や女性宮家の創設>について、「早急に議論を始めるべきだ」といいながら、眼前の「女性天皇」候補についてはまったく言及しない。

なぜだろうか?
書いていて、話していて、おかしいとは思わないのだろうか? 
思わないのだ。

愛子様ではなぜいけないのかと提起すれば、マスコミの「不偏不党」「公正中立」な報道指針に反するからだ。同時に、安倍政権に波風立てたくないという忖度でもある。国民に議論の素材を与えて紛糾するより、国会内の議論に留めたい。松原耕二さんはよい仕事をしている。


(敬称を略すなんてとんでもない)


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