コタツ評論

あなたが観ない映画 あなたが読まない本 あなたが聴かない音楽 あなたの知らないダイアローグ

誰かいっしょに住まないか?

2014-04-12 01:31:00 | ノンジャンル
以前、「東京のどこに住むのが幸せか」という本を紹介したとき、こんなことを書いた。

これから不動産を買う気も買う金もないのだが、新聞折り込みの不動産チラシを読むのが好きだ。電車で読む本がないときなど、駅に設置されているラックからリクルートの無料住宅情報誌を取ったりもする。

マンションや戸建ての広告を眺め、その家に住んでいる自分を想像してみると、この世界とは異なるパラレルワールドに暮らす別の自分に出会ったような、ちょっと懐かしい気さえする。


そんな私と「趣味」を同じくする人がいたら、ぜひ週刊新潮の購読をお勧めする。巻末近くのグラビア記事「水村山郭不動産」を開くべし。敷地1000㎡以上、2000万円以下の全国「草庵」物件を紹介しているのだ。今週(4/17号)の物件がすごい。土地面積1万1696㎡(3544坪)、建坪は未記載だが、優に200㎡以上はあるだろう。

8畳の和室が離れを入れて4部屋、6畳が1、4,5畳が2、3畳が1、DK6畳のほか、10畳ほどの土間に土蔵が2つもある。大瓦を乗せた白漆喰壁の堂々たる平屋建ての庄屋屋敷である。写真でご覧いただけないのが残念だが、こんな立派な家を私は見たことがない。価格は1600万円である。

1万1696㎡の土地には、畑と山林が含まれると書いてあるが、写真では平坦な土地なので、地目に山林指定された敷地もあるということだろう。近隣の水辺には、「ホタルがたくさん生息し、季節になると、満天の星のように舞う」と紹介文。また、コシヒカリの産地としても知られているそうだ。畑も田んぼも釣りもできるわけで、ジジババ犬猫ぜ~んぶひっくるめ、ついでに鶏も飼って、悠々住めるのである。

ただし、所在は、兵庫県丹波市青垣町。昔から、「丹波の山奥」という揶揄があるほどなので、よほどの山間僻地と思いきや小さいながらも町に近い立地。写真に写り込む電信柱の線を数えると、どうも電線と電話線くらいしか見当たらず、NTTの光ファイバーは未設置とみえる。当然、専門病院も遠いだろうし、デメリットは多少ではないだろう。

でもね、住んでみたら、あれもしてこれもしてと、胸弾むではないか。

晩秋から1月にかけて、丹波霧と呼ばれる低く濃い霧が発生する。空と陸がつながって周りが何も見えない。山の稜線も見えない。その瞬間、逆に世界がとても広く感じられると地元民が言う。

と紹介記事。まるで東山魁夷の絵のように、水清らか空気の澄む水村山郭(すいそんさんかく)の地なのだ。丹波といえば栗や黒豆が名産。正月の栗きんとんや黒豆煮が思い浮かぶ。当然、松茸も採れるはずだから、コシヒカリで松茸ご飯に栗ご飯。いかん、キーボードに涎が垂れた。

(了)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿