コタツ評論

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今週の明言 平等ではない

2020-04-12 18:44:00 | ノンジャンル
BBCの報道番組「ニューズナイト」の司会者エミリー・メイトリス
https://www.bbc.com/japanese/video-52253007

COVID-19にまつわり使われる表現は、時に陳腐で誤解を招くものになっている気がします。不屈の胆力と精神力があれば助かる 01 span>なんていうことはありません。首相の同僚たちがなんと云おうとも。

そしてこの病気が誰でも平等に扱うというのも違います。金持ちも貧乏人も同じように苦しむというのは。この出まかせは否定しなくてはなりません。02

今この戦いの最前線にいる人たちは、バスの運転手商品を並べる人たち看護師や介護施設スタッフに小売店の人たちは、この国の労働人口のなかで不均衡に低賃金の人たちです。

ウイルスを浴びる機会が多いこの人たちは、その分だけ感染する可能性が高く、低所得者向け高層住宅や小さいアパートに住む人たちは、今のこのロックダウンで特に大変な思いをしています。

肉体労働の宿主の人たちは自宅で働くことができません。この健康問題は社会福祉に多大な影響を与えます。そして同時にこれは社会福祉の問題 03として公衆衛生に多大な影響を与えます。

報道とかキャスターとは、本来これくらいのことは平然と言うべきものです。
01 入院したジョンソン首相に対して、保守党の議員たちが、不屈の胆力と精神力」で闘病をとエールを送ったことに間違っていると断言しています。日本なら、こんな物言いは、「不謹慎」と直ちに批難を浴びることでしょう。

02 疫病は等しく苦しめるというのも出まかせと非難します。我が国なら、蓋然性の問題を確率論に薄めて、「階級社会イギリスほど日本は酷い格差はないから、金持ちも貧乏人もある程度等しく感染する可能性がある」と自慢話に落着させる反論が出ることでしょう。

03 公衆衛生と社会福祉を明確に関連付けています。我が国のメディアは都市封鎖による困窮への補償は、社会福祉か否かという論議だけに留まるはずで、公衆衛生と社会福祉が相互に影響を与え合う国民の健康問題だという視点はありません。政権の広報をなぞって、経済と関連付けるばかりです。

事実と願望や精神論を区別せず、確率は語っても蓋然性には目を背け、公衆衛生や社会福祉は役所の文言の中にしかなく、隣近所が陰口を言い合うような狭い世間意識はあっても、社会というものが本当にはない日本が浮かび上がってきます。

(止め)