コタツ評論

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クマモン自粛するな

2016-04-17 16:42:00 | 音楽
熊本・大分の震災に謹んでお見舞いを申し上げます。

ベビーメタルの快進撃が続いています。セカンドアルバムが全米アルバムチャートで39位、イギリスでも初登場15位。ビートルズからマドンナ、ビヨンセなども公演したイギリスの音楽の殿堂、定員12,000人のウエンブリーアリーナを満席にして単独ライブを成功させ、アメリカでも著名なTV番組に出演して話題になっているようです。

BABYMETAL Makes Their U.S. Television Debut


「アイドルとメタルの融合」がキーワードなのですが、下掲の記事のような「世界戦略」があったわけではなく、「ヤマちゃん、それイケるんじゃない?」程度の思いつきだったのではないでしょうか。プロデューサー連中がいつもそうであるように。

坂本九以来の快挙!ベビーメタル全米39位 焦る音楽業界 世界視野の戦略
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160415-00000013-ykf-ent

思いつきだった証拠に、デビュー当初、世界中のヘビーメタルファンから、「アイドルとメタル」への違和感や反発の声が噴出したことが挙げられます。重低音のサウンドをバックにむさ苦しい髭面が汗臭い胴間声を絞り出すのがヘビーメタルだとすれば、アニメのコスプレめいた少女ヴォーカルがハイトーンボイスでデオドラントなアニソン的世界を歌うのにギタギタのメタルサウンドを組み合わせるなんて、ただの思いつき以外に考えられません。

しかし、まぎれもなく BABYMETAL は成功したし、さらに成功しつつあるようです。「グローバリズム」や「クールジャパン」など、したり顔の後理屈がこれから出てくるでしょうが、その前にイギリスの音楽サイトの一編集者が書いたこのレビューを読んでおけば事足りるはずです。

THE REPROBATのウエンブリー公演レビューが素晴らしい!BABYMETAL WEMBLEY REVIEW


BABYMETALは、私が見たこともない献身的なファンベースをもっており、誰もここに斜に構えてきている者は一人もおらず、(中略)、私はこれだけものすごく多彩で、分類不可能な観客を知らない

これはジャンルを否定するものであり、おそらくはジャンルを破壊している


デビッド・フリントさんは、未知について語ってほとんど誇らしげです。つまり、ウエンブリー公演の観客の姿を通して、彼は未来を知ろうとしているのです。それは先ごろ退任した鈴木敏文会長の口癖だった「変化への対応」に通底するように思えます。

鈴木敏文・セブン&アイ会長辞任の「本当の理由」 - 子会社のセブン-イレブン社長人事をめぐり大混乱
http://blogos.com/article/171806/

鈴木会長が井坂社長の退任案を出したが、「5期連続最高益を実現した社長を辞めさせるのは世間の常識が許さない」と取締役会で否決されたことから、自らの退任を決断したとされています。

業績が好調でこれといった落ち度がなければ、社長が退く必要はない。誰しも、「そうだよな」と思うが、ならば、社長以上の実績を成し遂げてきた会長が退任してみせましょう、という鈴木会長の「非常識」。

鈴木氏の思考法の大きな特徴は、常に未来に起点を置いて発想することにある。過去や現在の延長線上で考えるのではなく、未来に目を向けて、可能性やあるべき姿を見いだしたら、そこから顧みて過去や現在を否定し、目の前の壁を打破して、実現していく。

ご参考までに、当ブログの BABYMETAL 記事です。

http://moon.ap.teacup.com/chijin/1240.html
http://moon.ap.teacup.com/chijin/1284.html
http://moon.ap.teacup.com/chijin/1241.html


(敬称略)



コメント
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