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明菜のほかに神はなし

2014-04-08 21:41:00 | 音楽
YouTubeのトップページを開くと出てくる<あなたへのおすすめ>で知りました。この動画、UPされては削除され、いったい、何回目の登場かわからないほど。累計の再生回数なら、300万回は軽く回っているはず。動画は再投稿を待てばよいが、当時の記憶を語った貴重なコメントの数々が失われたのは残念。

明菜が歌い踊るYouTube動画中、間違いなく最高最上のパフォーマンス。たとえ明菜限定を解除したとしても、音楽LIVE動画中、最上級クラスにたぶん入るはず。いずれ、消されると思うので、いま見ておきゃれ(注1)と。

DESIRE -情熱- (夜のヒットスタジオ 1986.02.26 放送) - 中森明菜


歌(なま歌ですぜ)、バックの演奏(ギターのかっこよさ!)、振り付け(マドンナやビヨンセがイモに見える)、衣装(地味なのにくすまない渋い和の色)、カメラワーク(流れるように移動して過不足なし)などなど、完璧なマッチング。なんと28年前の音楽番組にして、中森明菜若干20歳。

これ絶賛しない人はどうかしてると思いますが、当時、明菜の「DESIRE -情熱-」をTVで視たときの私の感想は、じつは芳しいものではありませんでした。まず、着物アレンジの珍妙さが先立ち、歌の印象は薄いものでした。イサム・ノグチの障子紙使った照明器具のバッタコピーや、帯地をテーブルセンターにする在日外人のような、陳腐な和モダンを連想したのです。

衣装や振り付けにも明菜はアイディアを出すそうですから、和風を逆手にとってチープシックを狙ったパフォーマンスだったわけですが、脱アイドルに必死で奇抜な恰好をしているくらいにしか思わなかったのでした。これは何も私だけの不明というわけではなく、歌番組に登場してくると司会者は苦笑い、共演者もあっけにとられている風でした。

ほんとうに凄いってのは、その場、その時には、なかなかわからないものなのかもしれません。

おまけ。こちらも明菜のベストパフォーマンスのひとつです。井上陽水と玉置浩二の顔色なし。カメラ目線の決めと外しの緩急の見事なこと。これもいずれ、消されるはずです。

飾りじゃないのよ涙は / 中森明菜 & 安全地帯 with 井上陽水
http://v.youku.com/v_show/id_XMjA4NDkyNTY0.html

注1:唐十郎昭和42年(1967)の名台詞。
「新宿見たけりゃ/今見ておきゃれ/じきに新宿/原になる」

(敬称略)