小さい、安い、いい音の三拍子そろったPCオーディオにはまっている最近です。
プアオーディオ(Poor Audio ピュアオーディオではなく)。自分でこう呼んで卑下しながら楽しんでいます。
真空管ラインアンプ→D級デジタルパワーアンプ→自作スピーカーと揃ったのですが、ふと、その前段のUSB-DAC(PCとUSB接続してPCのデジタルデータをアナログ音声信号に変換してオーディオ機器へ出力する機器)が音に及ぼす影響が大きいのでは、ここをグレードアップすれば、更にいい音がするのでは、という思いに至ります。
確かに、ここで、アナログ信号に変換するわけですから、この段階で音の品質が落ちてしまっては、後でどんなに加工しても、これ以上の音質は望めないわけです。
調べてみると、USB-DACにはピンからキリまであって、その値段の開きは、ざっと50~100倍に及びます。
いい音を望むPCオーディオマニアは、ここにも、お金をかけるみたいです。
ミニUSB-DAC PU-2111
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現在使っている、USB-DACは、ASIOドライバが使えて、MIDIインターフェイスになるものをと思って購入した、TASCAM US-200 です。
非常に性能も音もいいのですが、残念ながら24bit/96kHz までにしか対応していません(人間の耳にはこれで十分なようですが)。
ピュアオーディオ用のDACなら、更にいい音が望めるのではないかとの期待が。
音楽制作専用ノートPC用に、オーディオインターフェイスが欲しいと思っていたので(その度に付け替えが面倒)、TASCAM US-200には、PCオーディオからご隠退いただくことになりました。
そこで、USB-DACの購入候補を絞る基準を立てます。
1. 予算
上を見ればきりがないので、1万~3万の間でコストパフォーマンスのいいものを選ぶ。
とにかく、現オーディオセットが、ラインアンプ5,000円、パワーアンプ8,000円、スピーカー10,000円の格安セットですから、ここにあまりお金をかけても、宝の持ち腐れですから。
2. 192kHz/24bitのハイレゾ対応
この音を聞いたことがありませんので(ハイレゾウォークマンNW-A25で、出力可能ですが、どうもイヤホン端子から出力してアンプにつなぐと、音が違うような気がします)。
3.メーカーもの
微妙な機械のようですので、作りのしっかりしたものを選ばないと、ただの自己満足になりそうな感じがするので。
そこで、候補は、
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KORG DS-DAC-100M MOBILE 1BIT USB DAC ヘッドフォンアンプ D/Aコンバーター
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KORG DS-DAC-100 1BIT USB DAC ヘッドフォンアンプ D/Aコンバーター
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の4機種
で、結局、いつもご贔屓にしている KORG さんの DS-DAC-100Mに決定。
初期の売価が30,000円ぐらいしていたものが、KORGの専売特許の値崩れで、1万円ちょっとで購入できる。
これも初期の売価が50,000円もした、DS-DAC-10 DS-DAC-100 と、中の基盤構造やICチップ(特に DAC IC の Cirrus Logic CS4398)はほとんど同じで、インターフェイス(キャノン端子とRCA端子)が異なるだけらしい。
DS-DAC-100
DS-DAC-100m
ということは、5万円クラスのUSB-DACをダウングレードした性能と考えていいことになる。
そして、最大のアドバンテージが、コルグが牽引してきた、DSD(2.8224MHz、5.6448MHz)フォーマットのネイティブ再生に対応していること。
このDSDとは、「Direct Stream Digital」の略で、元々はスーパーオーディオCDに採用されていたデジタル音声記録技術。
CDで採用され、現在も主流と言えるデジタル音声記録技術のリニアPCMは、縦軸に量子化ビット数、横軸にサンプリング周波数としたグラフにアナログ波形を写し取るような仕組みで符号化を行なう。
ハイレゾになるとグラフが細かくなるので、元のアナログ波形に限りなく近くはなるが、細かく見ればやはり階段状のデータのままではあり、原音とは似て非なるもの。
一方「DSD(Direct Stream Digital)」は、PCMとはまったく考え方が違い、音のアナログ波形を、1bitのデジタルパルスの濃度(濃淡)で表現する。極めて短い時間単位(2.8MHzや5.6MHz)にデジタルデータのオンオフ(1か0か=1bit)を並べ、そのオンオフの切り替えの粗密で音声信号を記録する」というもの。
DSDはCD(44.1kHz/16bit)の数十倍倍ものサンプリング周波数(2.8224MHzや5.6448MHz)でサンプリングを行い、アナログ信号のレベルが高い部分ではパルスが密になり、低い部分では少なく記録する。こうしてできあがったDSDの波形は、空間を伝わる音の粗密波、つまり元のアナログ波形そのものに近いかたちになる。原理上100kHzを超える再生周波数帯域と、なめらかで艶と奥行きのある音楽の再生を実現することになると言われる。
こんな薀蓄を聴くだけで、何かワクワクしてきますね。
DSD音源の普及はまだまだのようですが、配信会社も増えつつあり、また、ストリーミング配信をしている「PrimeSeat」というサイトもありますので、DSD音源を試す機会は結構あるようです。
ということで、さっそくポチッとして、到着です。
chuya-online さん、いつもお世話になります。
KORGの最近の統一したケースに入っています。ただ、黒を基調としたシックなものになっています。
みっちゃんに検査してもらえないのが残念です。
どこのレビューにも書いてありますが、WEB上の商品写真とは異なり、ずっしりとして、高級感があります。
あらかじめ、プラシーボ効果を高めるために、ケーブルもちょっと高級品を購入しています(ステレオミニプラグのみの接続のため、高級なミニプラグケーブルが必要とオーディオのプロがどこかに書いていたので)。
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勘違いして、1本余計に買ってしまいました。あ~ぁ、損した。
金メッキのバナナプラグに、チタン配合シースのメタルピンプラグという、とても13,000円のプリ+パワーアンプとは思えない、豪華な、きんきら金の背面となっています。
やっぱオーディオは気分9割ですから。
で、肝心の KORG DS-DAC-100M USB-DAC の音ですが、FLAC の再生では、TASCAM US-200 と比べ、それほど特徴的、優位的な音がするとは思えませんでした。
ただ、クリアーさが増し、さらにボーカルの定位感が増した感じがします。
また、世間の評判とは異なり、結構、中低音が出るようになったのは、期待をしていなかっただけに得した気分です。パワーも上がって、いよいよパワーアンプのボリュームをほとんど上げないで十分な音量が出るようになりました。
専用ソフトのAudioGate は、専用のASIOドライバーが、先に入れていた Fender のドライバーと干渉してしまい、うまく動かなかったのですが、他のASIOドライバーをアンインストールしたところ、問題なく動くようになりました。
本体のFirmware も 1.06 と最新バージョンでした。
圧巻は、5.6448MHz による DSD の再生です。
テストとして、手元に FLAC と DSD の双方のファイルがある、Arnesenの MAGNIFICAT Et misericordia (ノルウェーの作曲家 アーネセン のマニフィカト 「我が心、主を崇(あが)め」から「そして、慈悲」)を聞いてみました。これ最高にいい録音で最高にいい曲です。
MAGNIFICAT - Nidarosdomens jentekor & TrondheimSolistene
こ、これは、異次元の音がします。
まず、昔懐かしいレコード盤の音圧のようなものが感じられます。
さらに、世間では、リニアPCMと比べ、音が丸いとか、雰囲気や息遣いが伝わるなんて表現がされていますが、上掲「MAGNIFICAT Et misericordia」を PCM(96kHz/24bit)とDSD(5.6MHz/1bit)とで聞き比べたところ、私のオーディオでの再生では、リアル感がPCMのものと全く違います。
いままで聞こえなかった音が、前後位置を含めてはっきりと定位され、目をつぶると、特にソプラノ歌手が舞台の上に立っているのがはっきりとわかります。
きっと、高級なオーディオセットでは、もともといい音が出ているので、PCMとそれほど差が感じられないのかもしれません。むしろ、安いオーディオで、その差が大きく出るのではないでしょうか。
こりゃ、プアオーディオ(ピュアオーディオではありません)マニアとしては、えらいものを見つけてしまったという感じです。
これで、ハイレゾPCオーディオの彷徨はおさまるのでしょうか.....。
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