性懲りもなく、またエレキギターを買ってしまいました。
今回、前回購入の 「Epiphone LIMITED MODEL SG-Special-I」 との購入間隔(4月23日)がたいして離れていない異常な事態となりました。う~ん、何故なんだろう。ストレスかな?
ところで、今回ゲットしたのは、前から狙っていた Gretsch です。
グレッチ( Gretsch)は、ドイツからのアメリカへの移民であるフレデリック・グレッチ(Frederick Gretsch)が、1883年にニューヨーク・ブルックリンで創業。当初はバンジョー、タンブリン、ドラムなどを扱っていたそうな。
1950年代なかごろにグレッチはその全盛期を迎え、「6120」および「ホワイト・ファルコン」に代表されるエレクトリックギターがヒット。
「6120」
「ホワイト・ファルコン」
チェット・アトキンスを始め、カントリーやロカビリーのギタリストがグレッチのギターを使用し、グレッチはギター業界においてギブソン、フェンダー、リッケンバッカー等と並ぶ地位を獲得。
ところが、1960年代後半以降、ギブソンとフェンダーがエレクトリックギター市場で人気を二分するようになり、グレッチは次第に経営不振に。
1980年にグレッチを買収したピアノメーカーのボールドウィンが、ついにグレッチのギター製造を中止する事態に。
しかし1980年代に入り、ストレイ・キャッツのブライアン・セッツァーがグレッチのギターを使用したため、グレッチへの再評価が高まったとのこと。ステルスマーケットかな?
1989年からは新たにリイシュー・モデルを中心としたラインナップで製造を再開。グレッチのハイエンドギターは日本の寺田楽器で主に作られていたそうです。
2003年にはギター部門がフェンダーの傘下に入り(いまでも保証はFenderが行っています)、高級モデルはミリ規格からインチ規格になり、フジゲンや、アメリカのフェンダー・カスタム・ショップで作られるようになった。
また1995年頃よりエレクトロマチック(Electromatic)という廉価版ブランドが誕生。
エレクトロマティックのホローボディモデルは韓国製(残念!! 品質はいいそうです。でもねぇ....)。
ソリッドボディの「Jet」は中国製と住み分けがされているようです。また、2016年から発売された、これも 廉価版 Streamliner はインドネシアで製造されています。
ということで、今回購入したのは Crafted in China の「G5232T Electromatic Double Jet FT with Bigsby 」です。
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シリアル番号で調べてみると、中国製といっても、台湾の Yako Musical Instruments(Fender の Squier やバーニー、フェルナンデス等のギターを生産している工場)の中国工場が、2021年8月に製造した物ということが分かりました。
なんで、Gretsch が欲しかったのかというと、AC/DC の マルコム・ヤングが Gretsch のダブルカッタウェイの「Jet」を愛用していて、これが無茶無茶かっこいいのです。
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AC/DC - Thunderstruck (Official Video)
そういえば、Beatles のジョージ・ハリスン も Gretsch でしたね。
「G5232T Electromatic Double Jet FT with Bigsby 」のカラーは 「Tahiti Red」
オレンジ色を想像していたのですが、思ったより、けっこうピンク色でした。
スペックは
BODY
BUILD: Solid Body
BODY FINISH :Gloss
BODY SHAPE: Jet™
BODY MATERIAL: Mahogany
BRACING: Chambered
BODY BINDING: Aged White with B/W Purfling
BODY BACK: Mahogany
BODY TOP: Arched Maple
BODY DEPTH: 1.75" (44.45 mm)
MISCELLANEOUS
STRINGS: Nickel Plated Steel (.010-.046 Gauges)
STRAP BUTTONS: Knurled Strap Retainer Knobs
HARDWARE
BRIDGE: Anchored Adjusto-Matic™
HARDWARE FINISH: Chrome
TAILPIECE: Bigsby®-Licensed B50 Vibrato
TUNING MACHINES: Die-Cast
PICKGUARD: Silver Plexi with Black Gretsch® and Electromatic® Logos
CONTROL KNOBS: G-Arrow
ELECTRONICS
BRIDGE PICKUP: Black Top Filter'Tron™
NECK PICKUP: Black Top Filter'Tron™
CONTROLS: Volume 1. (Neck Pickup), Volume 2. (Bridge Pickup), Master Volume with Treble Bleed, Master Tone
PICKUP SWITCHING: 3-Position Toggle: Position 1. Bridge Pickup, Position 2. Bridge And Neck Pickups, Position 3. Neck Pickup
PICKUP CONFIGURATION Filter'Tron™ / Filter'Tron™
まず、ボディ形状表記の 「Solid Body」 ですが、1953年にグレッチ初の「ソリッドボディ」として発表された「Duo Jet」。当時最先端のテクノロジーであった航空機にあやかり「デュオ・ジェット」と名付けられたそうです。
発表当時から「ソリッドボディ」とされていたデュオジェトのボディは、グレッチのホロウボディに対する頑固なこだわりがあったためか、実際には内部をくり抜いた「セミホロウ構造」でした。軽量でよく鳴り、当時の音楽にマッチしたことから、大いに売れたそうです。
そこで、Electromatic シリーズの 「Double Jet」も、この伝統を受け継ぎ、くり抜かれた Chambered Body 構造になっています。
外からは見えないので、裏パネルを外して覗いてみました。
確かに、セットネックからブリッジにかけてのボディセンター部分を除いては、大きくくり抜かれています。
これは、ボディ上部も同じです。
これだけ空洞があれば、ギターの鳴りには影響すると思います。
ボディはマホガニーで、アーチのついたメープルが貼ってあります。
Knurled Strap Retainer Knobs:ストラップピンが変わっていて、ネジを回してつけ外しができるようになっているのも、Gretsch の特徴だそうです。
ブリッジは、 Anchored Adjusto-Matic™
Gretsch の伝統的な方式である「Secured(シキュード)」~木製のブリッジベースをボディトップに固定する~のチューニングの甘さを解消するために、アンカーをボディに打ち込んであるギブソンのTOMと同じような構造。
ブリッジは、Gretsch の外見上の大きな特徴である「Bigsby®-Licensed B50 Vibrato」 Bigsby の Lightning Series I の B50がついています。
Licensed というところがミソで、Bigsby 本家ではなく、社外 でライセンス生産された、ダイキャストアルミニウム製の本体とステンレス鋼のアームが付けられています(でも、これだけでも1万円します)。
フェンダーのシンクロナイズド・トレモロは、アームダウンするとサドルが連動して上がるため、弦高も上がり、アームアップすると弦高は下がってフレットに接してしまうこともあるようです。
いっぽうビグスビーは、弦を送り出したり引っ張ったりしてピッチを変化させるためアームを操作していてもサドルが動くことはなく、弦高が変化しないという特徴があります。また、この構造のため、「ピッチの可変域が狭い」代わりに、大変柔らかい感触の、美しいビブラートをかけることができるという利点があります。
さて、特異な機能満載のため長くなってきましたが、一番重要なピックアップに話がやっと回ってきました。
BRIDGE も NECK も 「 Black Top Filter'Tron™」が付いています。
フィルタートロンは、1958年以来定番化した、グレッチのオリジナルハムバッカー。
フィルタートロンの「1959年6月30日特許取得」は、ギブソンのハムバッカー(セス・ラバー氏発明。1959年7月28日特許取得)に先行しており、その意味で「世界初のハムバッカー」と言われているそうです。
「シングルコイルに内在する60サイクルのハムノイズ」に悩むチェット・アトキンス氏のために、レイ・バッツ氏(ギター/アンプショップ「レイ・バッツ・ミュージック(Ray Butts ‘Music)」の経営者)が発明しました。
「相反するシングルコイルを直列につなぐ」という開発コンセプトはギブソンと同じでしたが、コイルの寸法や巻き数、磁石の大きさなどの違いから、ギブソンは高出力で太く甘いサウンドに対して、フィルタートロンは抑えめな出力で、澄んだサウンドというように個性は大きく違っています。
特に「Gretsch Electromatic」シリーズでは、ピックアップの上面を黒にした「ブラックトップ・フィルタートロン」が使用されています。
Filter'Tronピックアップは通常3kから5kのDCR(DC抵抗)であり、これは非常に低い(通常のハムバッカーは16k)ものとなっています。そこで、これらのピックアップから最高のトーンを引き出すには、ピックアップを弦の非常に近くに配置する必要がでてきます。
そうすることで、クリアで薄く、明るいサウンドの世界を最大限に活用できるということです。
最後にボリュームコントロールですが、マスターボリュームに「Master Volume with Treble Bleed」が付いています。
ボリュームポットを絞ると、ピックアップの信号出力と直列に抵抗が追加されることになる。この抵抗は、ケーブル容量と組み合わされて、ピックアップ自体がローパスフィルターを形成し、より低い周波数を通過させるが、より高い周波数の一部をブロックする。このため音を絞ると高音が失われるという現象が生じることになります。
この問題を修正するために、「Treble Bleed Circuits」を組み込むことが有効です(あとで組み込むプレーヤーが多いようです)。これには、単一のコンデンサー、またはコンデンサーと小さな抵抗の組み合わせのいずれかのサーキットをつくることになります。
ボリュームポットの端子と並列に配線されたコンデンサは、ボリュームが減少したときに高周波を通過させる。更にコンデンサと直列または並列に抵抗を配線すると、音量を下げると信号が明るくなりすぎたり、小さくなりすぎる可能性を制御できることになります。
G5232T は、覗いた限りグリーンのフィルムコンデンサ(100V 682J 0.0068µf)と抵抗がつけられていました。
さて、一番重要な音の方はこちらで、
Электрогитара GRETSCH GUITARS Double Jet FT c Bigsby G5232T EMTC
新色が発売されましたね。旧色は底値の在庫処分だと思いますので、買うなら今です。
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