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滋陰至宝湯、滋陰降火湯の比較

2008-08-13 01:45:49 | アンチエイジング

名称がとても似ているが効能は随分と異なる。どちらも薬価収載されているが効能の違いについてはよく知られていない。

滋陰至宝湯は逍遥散加味方であり、疏肝健脾退虚熱滋陰(あるいは養肺陰)止咳湯とでもいうべき方剤である。一方、滋陰降火湯は逍遥散たる柴胡や疏肝理気作用の香附子も配合されておらず、逍遥散加方ではない。滋陰至宝湯に配合されている化痰止咳の効能を持つ貝母も配合されていない。青を涼~寒薬、赤を温薬、グリーンを平薬で表記すると、

滋陰降火湯

生地黄 熟地黄 白芍 天門冬 麦門冬 白朮 陳皮 黄柏 当帰 知母

炙甘草 生姜 大棗 が組成である。

効能:滋陰降火

肺腎陰虚 陰虚火旺による痰の切れが悪い乾咳 盗汗 潮熱などが適応症であるとされる。

滋陰とは清熱の意味を持つ

滋陰すなわち養陰あるいは補陰とは陰虚の陽に対して相対的に少なくなった陰を増してやることを意味する。育陰などという用語もあるが、陰を補うことにより相対的に過剰になった陽を抑え、虚熱が出にくい状態にさせるのであるから、滋陰は清熱作用を持つことになる。滋陰至宝湯中の麦門冬、滋陰降火湯中の天門冬の養陰剤はいずれも涼寒の薬性である。

滋陰とは時として養血、養陰の滋陰血の意味を持つ

中国漢方の診断方法を弁証という。その中での気血津液弁証では「血」と「津液」は別個に扱われているが「津血同源」という概念もあり、実際の診療での用語として生津と養血を区別しないで養陰血あるいは簡便に養陰と述べる医師もいる。なぜなら津液も血も人体の「陰」に属するからである。この立場からすれば、滋陰至宝湯中の狭義の養血斂陰の組み合わせである当帰 白芍と養陰剤の麦門冬をひっくるめて養陰と呼んでも誤謬はないようである。ただし、狭義の養血斂陰の当帰 白芍の組み合わせだけでは直接の清熱作用はない。なぜなら当帰は温薬であるからだ。飛躍して考えれば血は津液を生むという中医学の理論からすれば、やや遠回りの清熱作用はあるともいえる。それで虚熱をより清熱させる目的で、滋陰降火湯には養陰清熱剤の麦門冬に加え天門冬、清熱瀉火薬の知母、黄柏が加えられている。生地黄、知母には滋陰潤燥の働きがあり、養陰剤としての側面をもつ。

以上をまとめれば

滋陰至宝湯

柴胡 当帰 白芍 白朮 茯苓 甘草 薄荷 生姜 香附子 知母 地骨皮 貝母 麦門冬 陳皮

滋陰降火湯

生地黄 熟地黄 当帰 白芍 天門冬 麦門冬 白朮 陳皮 黄柏 知母

炙甘草 生姜 大棗 

疏肝解鬱作用

益気健脾作用

滋陰血作用

退虚熱作用

備考


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