患者:烏某 43歳 女性
初診年月日:2005年11月14日
病歴:
慢性糸球体腎炎を患うこと二年余、二年前扁桃腺炎後に、両下肢に浮腫と尿蛋白(2+)出現、某病院で腎炎と診断され、治療を受け、浮腫は漸消、但し蛋白尿と顕微鏡学的血尿が持続。2005年11月8日、腎生検を受けIgA腎炎と診断される。
症状:
腰酸、乏力肢軟、咽頭痛。舌尖紅、苔薄白、脈沈細。尿潜血(2+)、沈渣RBC40~50個/HP、尿蛋白(2+)、腎機能、末梢血液検査正常。
治法:補腎収斂固渋、清熱涼血止血
方薬:加味理血湯:
海螵蛸20g 茜草20g 竜骨20g 牡蠣20g 生山薬30g 白芍30g 白頭翁15g 地楡20g 血余炭30g 棕櫚炭(収斂止血)15g 孩儿茶(清熱 生津 止血)10g 赤石脂(渋腸止瀉、止血)15g 焦山梔子15g 烏梅炭(生津 渋腸 収斂止血)15g 甘草15g
水煎、毎日1剤、2回に分服。
二診
服薬14剤で病情好転、血尿及び蛋白尿は顕著に減少、乏力、肢軟減軽も明らか、腰酸、無浮腫、舌尖紅、苔白、脈細数。沈渣RBC8~12/HP、尿蛋白(1+)。証は陰虚内熱、迫血妄行、精微下泄に属する。補腎陰降火を主として、清熱涼血、収斂固渋止血を行うのが宜しい。
方薬:知柏地黄丸加味:
熟地黄20g 山茱萸20g 山薬20g 茯苓15g 牡丹皮15g 澤瀉15g 知母15g 川黄柏10g 亀板(滋陰潜陽、益腎健骨、養血補心)20g 小薊30g 白茅根30g 側柏葉20g 茜草20g 仙鶴草30g 蒲黄15g 藕節20g 三七10g 甘草15g 血余炭15g 地楡炭20g
水煎、毎日1剤、2回に分服。
ドクター康仁の印象
知柏地黄丸に亀板を加えより養陰を強化していますが、これまでの氏の医案では、亀板 女貞子 旱蓮草を加味し更に補腎陰降火止血作用を求めるものも有りました。
二診の方薬は亀板知柏地黄丸加味(涼血 清熱 活血化瘀 収斂等さまざまな)止血方の組成になります。分かりやすい配伍ですね。あれもこれもの印象はありますが。
2014年1月9日(木)
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