漢方治療は女性の病気とお付き合いが多い。女性は先入観も少ないし、辛抱強く、男性と違って継続治療に向いているのも確かだ。
先日、母親に連れられて17歳の娘さんが受診された。生理が飛び飛びになり、顔色が悪く、胃腸の調子が悪く下痢気味であり、動悸がするということで病院を受診したところ、貧血があるといわれ鉄剤と睡眠導入剤を服用中とのことあった。
食も小さく、寝つきが悪く、生理痛は生理が終わっても4日も続くという。
診察してみると顔色はやや黄色く、漢方用語で言う面色萎黄であり、舌色淡白、脈は細弱である。お腹に圧痛は無い。髪質が細く、やや色が薄い。神疲乏力とう全身性の倦怠感がある。めまいがするという。
大学受験を控えて、こんな体力と生理不順でお母様が心配するわけである。
漢方診断は気血両虚、月経後期、脾虚不運、昇清不昇、血虚不寧である。
こんな場合は、やや下痢気味であるので大便が柔らかくなる当帰を除き、白朮、
白扁豆、砂仁を加味した人参養栄湯加減が効くものである。髪質が悪いので何首烏を加味した。煎じ薬を服用して20日後に再診。
ともかく顔色がよくなり、下痢が治まり、寝つきがよくなり、元気になったとお母様が喜んでいる。
生理がちゃんと28日周期になったのは初診から3ヶ月以降である。現在は生理痛もない。
地元名門私大に推薦入学が決まったとの朗報も届いた。
良かった。