モンロー六味地黄丸派生学
おなじみのモンロー六味地黄丸です。
Marilyn Monroe original wood-cut by Dr. Kojin
モンローが左に歩くとモンロー左帰丸で、
モンローが右に歩けばモンロー腎気丸=金匱腎気丸=八味地黄丸になります。
元のモンローは補腎陰 右に歩けば、すこし温かみのある色合いの補腎陽の
腎気丸=金匱腎気丸=八味地黄丸 更に右に歩いてモンロー右帰丸(補腎陽を強化)になることは前述しました。
今回は右にも左にも行かないで、まっすぐ伸びたモンロー六味地黄丸の加減6方剤について述べます。
モンロー六味地黄丸について前前稿をご覧になってください。陰虚が進むと、10.02のブログ原稿の「熱っぽい」という虚熱が現れます。
そこで、陰虚火旺ですが、直接的な退虚熱方剤を使わないで、
知柏地黄丸をまず、試みます。
腎陰虚が進むと目の下に隈(くま)が出てきて、両頬潮紅(頬が赤らんで来ます)。
知柏(ちはく)地黄丸=知母、黄柏+六味地黄丸(ちも おうばく 六味地黄丸)
(ちも おうばく じゅくさんさん ざーたんふー)
効能は陰虚火旺に対する慈陰降火です。
モンローが夜も眠れず陰虚が進み、肝腎陰虚の結果で、眼が乾燥したり、ぼやけてきたとしましょう。そこで、杞菊地黄丸の登場です。
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)=枸杞子(くこし)、菊花+六味地黄丸
(ごきくじおうがん: こぎく じゅくさんさん ざーたんふー)
仮に、モンローが歳を取ったとしましょう。よくありましたね、長屋の隣のおばあちゃんがゴホゴホと咳をする声が聞こえました。べつに肺に深刻な病気があるわけでも無いのに、腰がだるい、膝に力が入らない、よく咳がでる、おまけに、シャックリまで出てきて、柿の蔕(へた)なんか煎じて飲んでいるが、止まりにくい。こんな場合に、五味子+六味地黄丸です。都気丸と言います。
都気丸=五味子+六味地黄丸です。七味都気丸ともいいます。
腎陰虚気喘息(ゴホゴホ ゼーゼー)、呃逆(しつこい胃気上逆によるシャックリ)に対して有効です。もう少し詳しく言えば、腎不納気による肺気上逆と胃気上逆に有効であり、五味子(ごみし)は斂気(れんき)に働きます。肺気や胃気をぐっと引き締め、気逆が起こらないようにすると理解していいでしょう。
切れにくい痰がからむ場合には、都気丸に麦門冬を加えて肺陰を補い、痰を切れやすくします。これが麦味地黄丸(ばくみじおうがん)です。この味は味覚の味ではなく、五味子の味(み)です。
麦味地黄丸(ばくみじおうがん)=麦門冬+五味子+六味地黄丸
となります。
眼にいいのが 石斛(せっこく)地黄丸 石斛 甘、微寒(シーフー)胃、腎養胃生津、滋陰除熱に作用する。(補足:石斛と玉竹の共通点は? 共に補陰剤で、補胃陰です。)
中国で市販されている石斛夜光丸は、石斛、羚羊角、枸杞子、決明子、黄連の組み合わせで、六味地黄丸とは大分離れています。
耳にいいのが耳聾左慈丸です。各自検索してみてください。
中国市販品は、天然磁石、熟地黄、山薬、山茱萸、茯苓、牡丹皮、澤潟、竹葉、柴胡の組み合わせで、これは六味地黄丸の派生といえるでしょう。六味地黄丸に天然磁石 竹葉 柴胡の三味を加えたものです。
医者向けに少し面倒になりますが補足します。
肺と他臓の兼証の一部です
肺腎気虚 =腎不納気 |
肺は粛降を司り、腎の納気を助ける、腎は納気を司り 肺の呼吸を助ける | |
吸気時呼吸困難、気短、動即更甚、 | ||
陽虚に傾く場合 |
陰虚に傾く場合 | |
畏寒肢冷 自汗 冷汗 口淡不渇 脈虚浮(虚弱な陽気が浮上する) 尿失禁(腎虚による膀胱失約) |
両?潮紅 午後低熱 紅舌少苔 盗汗 脈細数 | |
補腎納気 人参胡桃湯 黒錫丹 |
補腎納気 七味都気丸 生脈散 |
ドクター康仁 記
先生のファンより