心脾両虚の症状
唇色がさえない、肌が青白いか、あるいはくすんだ黄色、肌ががさがさしている、生理が遅れ気味であったり、月経量が少ない場合、眩暈(めまい)がする、動悸がある、髪の毛が乾燥している、全身の倦怠感がある、下痢や軟便の傾向がある 診察してみると舌質の色が淡く、脈は細弱の場合が多いのです。このような症状を伴うパニック症候群を漢方医はどう考えるのか?
まず、脾虚(ひきょ)(平たく言えば胃腸障害)が根底にあると考えます。原因は、食事の不摂生、無理なダイエット、冷たいものの過飲などです。もちろん脾の五志が「思」でありますから、深く悩んだり、考えすぎるというような精神的な負荷も脾虚の原因になります。脾虚が存在すると、脾は後天の元、気血生化の元であることから、気虚が生じ、やがては、気は血を生むという中医基礎理論から(営気は血の元と基礎理論は説きます)、やがては血虚が起こるわけです。
さて、精神の不安定はどこから生じるのか?という問題に対して、中医学は血、特に心血不足が原因と考えます。これは、血液が血管内を巡り、心臓の中でも絶えず移動するという西洋医学的な感覚とは別世界の漢方の独自の考え方です。中医学でも心血を心臓の心房、心室の中にある血液とは定義していません。そのまま受け止めるしかない中医学の概念とも言えます。
このような心血不足とそれを引き起こす脾虚を総合して、中医学では「心脾両虚(しんぴりょうきょ)」という疾患の「概念」、あるいは現代風に言えば、症候群を考え出しました。
心血を補い、精神を安定させ、脾虚を改善する方剤として、古来より有名なものに帰脾湯(きひとう)があります。
帰脾湯の組成
茯神 酸棗仁 遠志 白? 黄耆 人参 木香 当帰 炙甘草 竜眼肉など
グリーンは平薬、赤は温薬です。全体として「温」の性質を持ちます。
茯神 酸棗仁 遠志は精神安定作用のある生薬です。白朮 黄耆 人参 木香の組み合わせは、胃腸機能を強め(健脾作用)ます。木香は益気補血薬に伴いやすい胃腸のもたれを改善する働きがあります。当帰、竜眼肉は養血に働きます。
エキス剤には「加味帰脾湯」があります。帰脾湯に柴胡と山梔子を加えたものです。柴胡は涼、山梔子は苦寒であり、帰脾湯の温薬としての性質を、やや涼にしたもので、いらいら、のぼせなどの肝郁化火(がんうつかひ)の症状が伴った場合に用いられます。
続く
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