寒い季節に真夏の方剤の話も似合わないと思うが、人参についてここのところ稿を重ねてきたので清暑益気湯について考察してみる。
そもそも清暑益気湯は金匱要略の「えつ病」に効く。
暍病(えつ病)と書く。
主な症状として、古典には
① 発熱自汗(汗をかいて熱がでる)
② 煩渇溺赤(煩渇小便短赤)(喉が渇き、小便の量が少ない)
③ 少気脈虚(ぐったりしていて脈が弱い)
④ 小便違和感(淋)(なにか排尿時に違和感がある)
などの症状が記載されている。
病机(病因)としては 暑邪感受発熱 気陰両虚と記載され、現代風であれば
熱が体外に放散されることが傷害され、結果として発熱し、気を損ね、脱水になる。ということになる。軽度の熱射病である。
治療は漢方用語で清暑益気養陰ということになり、これも現代風には、熱を下げ、気を増し、失われた陰(体液)を補充するということになる。
方剤としては
① 白虎加人参湯
② 清暑益気湯(清書益気 養陰生津)
③ 藿香正気散(湿による胃腸症状に)
などがあるが、変り種としてスイカの皮と西洋参が君薬である清暑益気湯がある。
組成は 西洋参 西瓜皮 麦冬 石斛 淡竹叶 黄連 知母 粳米 甘草などである。
スイカの皮は清熱解暑に働く。西洋参は益気生津 養陰清熱に働き、麦冬と石斛は養陰生津を補助する。
真夏の激しい運動や、炎天下での労働を余儀なくされるときは、清暑益気湯がお勧めである。