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野山人参で利殖する中国のお話

2008-02-01 20:18:46 | 健康・病気

私が敬愛する上海中医薬科大学の朱教授は、「中国人100人がもし癌にかかったら、100人とも野山人参を欲しがるだろう。しかし、資源の量とその高価さ故に、中国人といえども誰でも野山人参が飲めるわけではない。一方、日本人100人が癌にかかったら、99人は野山人参を欲しがらないだろう。伝統と知識の差である。」とおっしゃっている。

 中華人民共和国認定7等級にあたる総重量0.5g以上1.5g未満の野山人参は、親指の上に乗るくらいの大きさで、グラム単価は金よりはるかに高価だ。1等級にもなれば、最低基準価格が、グラム2.2万円弱(昨年の金価格の約10 倍)となる。

現在日本国内で市販されている、高麗人参製品の紅参末は136g服用で、1ヶ月に1万円程度の費用ですむが、やはり野生人参(野山人参)の効用には及ばないと朱教授はおっしゃる。

体の抵抗力を免疫力と言い換えれば、人参こそが免疫力を増強してくれるものである。特に野生人参(野山参)は効能が高く、中国では高貴薬として伝説的な名宝である。西洋抗癌剤による骨髄抑制や放射線療法に伴う宿酔などの副作用を防止する効果は、野生人参に勝る生薬はない。また、人参から抽出したジンセンノシド成分の一部には、癌腫瘍内の血管の内皮細胞の増殖を抑え、癌組織の血管新生を抑制することにより癌組織を栄養不足に陥らせ癌組織の発育増殖を阻止するという新しい抗癌効果も報告されている。

上海市や杭州市の漢方薬店に買い付けに行くと、名品と呼んでもいい野山人参は、最早店頭には出ていない。厳重に錠がしてある特別室の、更に金庫の中に保存されている。年間利回りが20%にもなると店主は意気洋々である。売れなければ在庫になるだけじゃないのかと尋ねると、「心配無用、ここ百年間あまり、売れなかったことはない。」と胸を張る。

拉致韓国人の息子に会いに韓国のお母さんが面会に行くという政治ショーにも似た再会劇があったような気がする。国家から手渡された野山人参の名宝は件の店主によると、「一千万円を切ることはない」そうである。

買い付けに行く度に、めまいにも似たため息がでる。


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