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自律神経失調症 めまい 漢方治療

2009-02-27 16:07:26 | めまい

3年間 日常生活が困難なほどの重症めまいも漢方治療で消失する。

めまいは漢字で眩暈と書きますが、元来は中国語です。

軽症の場合は、目を閉じれば、眩暈は緩和されます。ふわふわと雲の上を歩いているような軽症の眩暈から、重症になると、乗り物の上に乗ったような回転感の為に、立つ事ができず、天井がぐるぐるとまわり、悪心、嘔吐、汗出などが生じます。甚だしい場合は、救急車で病院に搬送されるということになります。病院では脳のCTや血液、心電図などの検査を受けますが、命にかかわる重度の脳血管障害や脳腫瘍などはほとんど発見されません。ほとんどの場合は何かしらの点滴を受け、メニエール氏病の疑いがあれば、メリスロンなどの内耳性眩暈の薬剤、脳循環不全が疑われれば、抗血小板剤やセファドール系の薬剤が処方されます。

厄介なのは、自律神経失調症と診断されている患者さんの諸症状のひとつである「眩暈」は、発作が反復し、西洋薬の効果が薄く、日常生活に支障をきたしてしまうということです。

漢方医学には「眩暈」の治療経験が膨大にあります。

中国漢方医学は、眩暈を主な症状とする内耳性眩暈、脳動脈硬化症(脳底動脈循環不全症を含む)、高血圧症、貧血、低血糖、神経性眩暈などのあらゆる眩暈に対応できる独自な弁証(診断)治療体系があります。

私が経験した症例

56歳女性。33歳で結婚。結婚当時体重56kg36歳の時に突発性難聴に罹患。43歳の時に早期肺癌手術。体重は73kgに増加。51歳で閉経。閉経前後に2度目の突発性難聴に罹患。52歳時に独居の実母が悪性リンパ腫にかかったために、在住の四国愛媛から看病のために何度も愛媛~名古屋間をプロペラ機で往復。名古屋に通わなくなって約1年後より耳鳴りがひどくなり、回転性の眩暈が出現。眩暈、嘔気、嘔吐のために頻繁に医療機関に搬送されるようになる。愛媛大学耳鼻咽喉科、愛媛県立中央病院東洋医学研究所を受診し、イソバイド、澤瀉湯の処方を受けて治療を継続したが一向に発作がおさまらず、ご主人の運転する車で、やっとの思いで、私のところを受診したのが2008711日でした。

初診時所見:

体重75kg、血圧正常。貧血なし。左聴力ほとんどゼロ。左に耳鳴強い。脈:細弱、舌:歯痕強く、白膩苔 便秘なし。下肢、鼻先、手指の冷えが強いと言う。顔面の火照りあり。動くと異常に発汗がある。少々口が苦いと訴える。締めつけられるような頭痛発作もあり。

治療薬:

「素問?至真要大論編」:「諸風掉眩、皆属於肝」との記載がある。

また、「痰」の関与しない眩暈はなく、「痰」の観点から眩暈を治療せよ。という中国医学の教えがある。さらに清陽不昇は眩暈を起こすという経験則がある。

平たく言えば、「肝 脾 痰湿の観点から眩暈をとらえよ」という教えである。

以下の処方を開始した。

半夏6蒼朮白朮天麻陳皮天南星白芥子桃仁4.5紅花当帰4.5

川芎白芍砂仁3(後下)呉茱萸4.5香附子6黄蓍五味子6遠志4.5

竹茹4.5蓮子4.5桂枝4.5 菖蒲6丹参6石决明茯苓枳実4.5黄連2

以上1日量 水煎服用 12

経過中に牛膝 澤瀉 地竜 白僵蚕などを加減。

(赤は温薬、緑は平薬、青は寒涼薬で示した。)

驚くほどの症状の改善

服用開始後3週間で眩暈消失。買い物や家事ができるようになった。頭重感残存。(牛膝を加味)

服用開始3ヵ月後には異常発汗、眩暈、頭痛は消失。

20081224日に最後の処方。今日に至るまで症状再発なし。227日に体調すこぶる良好とのお礼の電話をいただいた。

漢方医学の現状

上記の処方内容をわかりやすく解説するのはほとんど不可能です。残念なことですが、、。

漢方処方というものは、おのおのの漢方医の経験と発想によって随分と異なります。現在日本の漢方治療の現状は、ただ病名と照らし合わせて出来合いのエキス剤を処方しているある意味偽者に近い漢方医師がほとんどです。問題が多々ある現状ですが、一般の患者さんにはうかがい知れないことなのです。

参考までに

眩暈の弁証論治における代表的な方剤を列記しておきますので、漢方医学に興味のある方はお調べになってください。

天麻鈎藤飲(雑病証治新義)効能:平肝息風 清熱安神 補益肝腎

天麻 鈎藤 (後下)石决明(先煎)山梔子黄 牛膝 益母草 杜仲 

桑寄生 夜交藤 茯神

当帰龍薈丸(宣明論方):当帰 龍胆草 山梔子 黄連 黄 黄柏 大黄 

青黛 芦? 木香 麝香

帰脾湯(済生方):茯神 酸棗仁 白朮 黄耆 人参 木香 当帰 遠志 

炙甘草 竜眼肉

補中益気湯(脾胃論):黄耆 人参 白朮 炙甘草 柴胡 升麻 当帰 陳皮

杞菊地黄丸(医級):枸杞子 菊花 熟地黄 山薬 山茱萸 茯苓 澤瀉 

牡丹皮

半夏白朮天麻湯(医学心悟):半夏 陳皮 茯苓 炙甘草 白朮 天麻 生姜

大棗

(黄連)温胆湯

黄連1.53+温胆湯(備急千金用方):半夏 陳皮 茯苓 炙甘草 竹茹 

枳実 生姜 大棗

まだ呉茱萸(ごしゅゆ)五味子(ごみし)白芥子(はくがいし)蓮子(れんし)

が残ってますが、これも各自興味のある方はお調べください。

意地になって澤瀉(たくしゃ)を最初から使わなかったわけではありません。

悶不食の者に、白仁、砂仁を加える。耳鳴り、重聴の者には、葱白、菖蒲を加えると標準的中医内科学の清書には記載されています。

「自律神経失調症、うつ病のお問い合わせ」は下記URLより

http://okamotokojindou.com/ 岡本康仁堂クリニック