永野宏三のデザイン館&童画館  アート日和のできごと

イスラエル国立美術館、ミュンヘン国立応用美術館、国立国会図書館、武蔵野美術大学美術館図書館他に永野宏三の主な作品が収蔵。

境目。

2009-04-05 20:34:42 | 日記・エッセイ・コラム
フォーク・クルセーダーズの歌に「イムジン河」がある。♪飛びゆく鳥よ 自由の使者よ・・・河よおもいを伝えておくれ♪と、せつせつと唄われていた。三年前映画「パッチギ」でも、たぶんクルセーダーズの中のひとりを思わせる主人公がギターを鳴らしながら唄っている。映画でも在日の人たちにおける南北の複雑な状況で、同世代の連中が喧嘩をしながらも後に互いを認め合う。もう30年以上たつが、当時のイデオロギーの対立から、今や経済と政治の南北格差の問題と変化してきたが、状況はひとつも変っていないんだなあと思う。ミサイルでアクションを起すようになってきたから、さらに問題が複雑になってきている。18年前にはじめてソウルに行った時に、韓国の美術大学大学の先生に、ソウルから車で一時間ほど郊外にある、朝鮮皇族が住んでところに案内してもらったことがある。沿道に広がる大地は朝鮮独特の農村風景で、土の色は九州の土の色より赤い。皇族史跡は山に囲まれた静かなところだった。その山の方を指をさして「あの山の向こうが北朝鮮だよ」と説明されてびっくりしたことがある。閑静と落ちついたたただずまいの史跡にたたずんでいると、なぜこの大地はふたつに分かれているの?と素直に思ってしまつた。その先生は「まだソウルに滞在しているんだったら、板門店に行ってみるといいよ」とすすめてくれたが行けずじまい。滞在中に韓国と日本のデザイナーでソウルでデザイン展をした。そのオープニングの時に、日本大使館の若い参事官の方が来られていた。えっ、こんなところに大使館の方がと驚いた。パーティの時に小さい声で「民間でこうやって国際交流していただくと私たちは助かるんですよ」とボソッと言われた。その時にはピンとこなかったが、その翌日散歩がてら、日本大使館の方まで足を伸ばしたら、警察の装甲車がものものしく警備をしていた。なるほど、海を超えてまだまだ複雑な状況があるんだなと思った。パーティの時に、韓国の若いデザイナーと話しをしていて、話題の中でソウルの漢江川の話しになった時、僕が「漢江」のことをうかつに「カンコウ」と日本語読みしたら、そのデザイナーは「ハンガンと言い直せ」と、ちょっとムキになって僕を嗜めた。僕は後になって恥ずかしくなった。いまは当り前に観光で韓国の街を歩ける。