渡辺松男研究29(15年7月)【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)100頁
参加者:石井彩子、M・S、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子
司会と記録:鹿取 未放
235 柿若葉われのつく嘘みずみずと君のつく嘘なおみずみずと
(レポート)
俳句の季語さながら柿若葉とおかれ、若いみどりの小宇宙が示される。が、同時に柿若葉一枚一枚はなめらかな舌のようだ。その舌がみずみずしい嘘をのせる。リフレインの心地よい音楽性は、実は愛の言葉を告げ合っているのだ。有頂天になっているかもしれない現在の愛を嘘と置き換えて、柿若葉の重層的イメージの中に詠った。(慧子)
(当日意見)
★私は愛を嘘とは置き換えられないと思いました。恋愛中、相手の関心を得るために大げ
さに言ったり、相手を試すような行動をしたり、そういうことを言っていらしゃるのか
なと。それで自分のつく嘘よりも相手のそのような嘘が大きいと、それは相手を受容し
ていること。(石井)
★慧子さんの解釈で全部言い当てているように思います。柿の若葉がなめらかな舌と解釈
されたのもすばらしいと思うし、若い男女の愛を告げる言葉が大げさというか、それを
分かっていて心地よく聞いているという感じが「みずみずと」という言葉に表れている
ように思います。(M・S)
★私も柿若葉がなめらかな舌のようだというのは面白いと思いました。後半については、愛
=嘘ではまずかろうと思います。好き同士なんだけどお互い気を引くようなことを言い
合うとか、戯れて嘘つき合っているとか、そういう嘘もふくめて爽やかな好い関係にあ
るんだと思う。(鹿取)
★では、レポートの最後のところを「嘘も交えて」くらいにすればいいですかね。(慧子)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます