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渡辺松男研究29(15年7月)【陰陽石】『寒気氾濫』(1997年)100頁
参加者:石井彩子、M・S、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:渡部 慧子
司会と記録:鹿取 未放
236 白雲木の花咲く下のベンチにて君はこころを濃くして待てよ
(レポート)
白雲木はエゴより大振りな葉と花を持ち比較的似ている。その名に雲があるように、とらえどころがないイメージを広げる上句に対し、下句は「こころを濃くして待てよ」と、それとなく対比が隠れ、そこにさわやかな愛の命令形がある。(慧子)
(当日意見)
★それとなく対比とは、具体的に何と何の対比ですか?(鹿取)
★白雲木という言葉には雲の字があってもやもやした感じ、それと心を濃く、つまり情熱
的にというのが対比。漠然とした景の中であってもあなたは僕を思って待っていてねと
いう。(慧子)
★作者の何を待っているのでしょう?作者の告白とかかしら?(石井)
★いや、僕のことをただ思っていてというのでしょう。来るのを待っててって。(M・S)
★それをいう為にこの1首があるのですか?何かを期待して待ってて?(石井)
★今日は告白するから待ってて、かな?(慧子)
★白雲木の下のベンチで待っている女性って、絵画的でいいですね。(石井)
★白雲木って雲の字はあるけど、エゴなんかと違って房になって咲いて藤なんかよりどっ
しりして重量感があります。だから、ただ清楚だけではない、存在感があるしっかりし
た女性を勝手にイメージしてしまいます。上の句のイメージも魅力的ですが、下の句の
下の句のカ行音の君、こころ、濃くしての連なりも心地よいですね。(鹿取)
★でも、どうして白雲木なんでしょう?どこで待ってもいいような感じだけど。(M・S)
★白雲木はどっしりしていると言ったけど、ある種、天井的なイメージもあると思います。
最近、自宅近くに並木があり、自宅敷地にも白雲木があることに気がついたけど、以前
は鎌倉の浄智寺まで白雲木の花を観に出かけていました。真っ白で、見事に垂れ下がっ
て咲く大木がありました。(鹿取)
※写真上は、まだ咲ききらない白雲木の花。
写真下は、白雲木の実。いずれも、鹿取自宅近くで撮影。
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