かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 2の33

2017年11月21日 | 短歌一首鑑賞

 ★★「渡辺松男研究」に参加してくださる方を募集しています。
     母胎は「かりん」の鎌倉支部ですが、
     他の結社の方でもかまいません。
     どうぞお気軽にお越しください。
     場所は鎌倉駅東口2分の「鎌倉生涯学習センター」
     (0467-25-2030)です。
     次回は12月は9日(土)です。

  渡辺松男研究2の5(2017年10月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【白根葵】P28~
     参加者:曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:渡部慧子
      司会と記録:鹿取未放

33 夕焼けの谷川岳を押したおし逢いにゆきたきはなのかおばせ

     (レポート)
 逢いにゆきたいと思っている。谷川岳を押し倒しゆきたいという。この強さが暴力的ではなくゆたかな広がりをもつのは「夕焼けの」にあるのだろう。夕焼けの色を受けているであろう。またその時の人恋しくなるころを考えあわせると、一首にやさしさ、なつかしさがそなわっている。このような景を設定して逢いにゆきたきとは、他国の王女へ寄せる思いのようでもあるが、実はあえかな「はなのかおばせ」である。美しい花のような人と思ってもいいし、実際の美しい花かもしれない。9番歌【蟹蝙蝠(かにこうもり)大群生して霧深したれに逢いたくて吾は生まれしや】でも言われたように壮大なロマンを感じる。(慧子)


     (当日意見)
★普通「かんばせ」っていいますよね。押し倒しって凄いですね。(曽我)
★辞書にはどちらも出ていますね。かおばせがもともとで、かんばせは音便。(鹿取)
★夕焼け時の人恋しい情趣がうまく出ていて、でも「谷川岳を押したおし」だからダイナミックで
 ですね。万葉集の柿本人麻呂の「妹が門見ぬ 靡けこの山」を思い出しました。(鹿取)




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