古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十八章 潮御崎神社・古記録その三十九

2013年07月23日 06時43分36秒 | 古文書の初歩

 

潮御崎神社古記録「乍恐口上」第十ページ、上の五~六行目

解読 於尓今其作法御座候御事。

    一、中頃潮下り申節、印南・田邊・芳養浦々より漁船

読み 今に於いて其の作法御座候おん事。

  一つ、中頃潮下り申す節、印南・田辺・芳養浦々より漁船

解説 「於尓今」・・・下から返って、「今に於いて」と読みます。「今でも」「現在でも」「尓」は変体仮名の「に」。 「其作法」・・・其のしきたり。 「御座候御事」・・・其のしきたりが残っていると言う事実があります。 出雲・大嶋・串本三ヶ浦の者が海へはまった時は、「うけながし」と言って「見のがし」をする事で、正式な神事を免除するため、其の旨、ことわりを言って来るようにと申し渡しているので、今でもその慣習は残っています。 「一」・・・ひとつ書きの第十二番目。 「中頃」・・・串本町史によりますと、中頃とは、寛永十四年(一六三七年)頃の事で、前に習った潮岬会合が発足した頃と書いています。現在習っている神社古記録は「元禄七年」(一六九四年)の日付になっています。 「潮下り申節」・・・潮の流れが下り潮になった時。西から東へ流れる黒潮本流のこと。この潮でカツオをはじめ、回遊魚の群れがやってくる。 「印南」難しい崩しです。『いなみ』と読みます。御坊市と田辺市の中間で、鰹節発祥の地と言われています。 田邊の次は「芳養」『はや』と読みます。現在は田辺市の一部。 最後も難解で、「漁船」。 二十一日第三十七の「解説」中、「うけながし」を形式だけの簡単な神事の一種と思われると書きましたが、串本町史によりますと、「見逃し」『みのがし』する事で認めたと書いています。訂正してお詫びします。