古文書に親しむ

古文書の初歩の学習

第十八章 潮御崎神社・古記録その三十二

2013年07月15日 06時17分34秒 | 古文書の初歩

 

潮御崎神社古記録「乍恐口上」第八ページ、上の七~八行目

解読 先祖申候者、潮祭仕候而も浦々之者海江者満里

    堕し拂之湯立不仕候故、潮行もくるい漁事も

読み 先祖申し候は、潮祭り仕り候ても、浦々の者海へはまり

    堕とし払いの湯立て仕らず候故、潮行きも狂い漁事も

解説 「先祖申し候は」・・・我等の先祖が言われたのは。 「潮祭り仕り候ても」・・・潮祭りをしても。 「浦々の者海江はまり堕とし」・・・「者」「満」「里」それぞれ変体仮名で「は」「ま」「り」・・・はまり。はまる。海中へ落ちる。次の「堕とし」は「おとし」と読みますが、意味は汚れを堕とすと言う意味か。文字は「隨」にも似ていますが、「隨」では意味が通じません。「海へはまった穢れを堕とす」としておきます。 「拂」・・・「祓い」『はらい』は、神に祈って罪や汚れ・穢れを取り除くこと。 「湯立て」・・・湯立ての神事。 「不仕候故」・・・行わなかったので。「故」の崩しは形で覚える。 「潮行き」・・・潮流。 「くるい」・・・本ページ二行目と同じで、それぞれ変体仮名の。「久」・「留」・「以」。狂うこと。 「漁事も」・・・漁獲も。「文意」・・・漁師が海へ落ち、その穢れ『けがれ』を堕とす『おとす』為のお祓いの湯立て神事を行わなかったので、潮の流れも狂い、漁獲も無かった。