citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

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2007-11-27 22:10:08 | 日記
読書に励んでいます、本当に。とは言え、読書できる空間は通学途中の電車内と、家で眠る前にぺらりとめくる程度ですが。
どうも本の掛け持ちが出来ません。あれこれ借りといて、結局一冊ずつ読むほかないようです。そして、昨年から『テレヴィジョン・シティ』長野まゆみ(著) を読むぞと言って、本は本棚に眠っています。そろそろ目覚めさせたい頃合です。

今日紹介しますは、『白いへび眠る島』三浦しをん(著)です。
13年ぶりの大祭を控えて、にわかにざわめく拝島。夏休みを利用して本土から島へ帰ってきたのは主人公:前田悟史、高校生です。
島に着くやいなや、“持念兄弟”と呼ばれる間柄の同級生:中川光市に出迎えられ、久々の対面を果たします。両親家族と会うのも久しぶりで、何となくぎこちない雰囲気の中、母親からこんな忠告を受けます。

「“あれ”が出た」

あれ、と称されるのは、その名を言っても祟られるという、恐ろしい化け物です。
拝島には古くから白蛇様、荒神様と呼ばれる守り神がいます。その守り神をご神体としているのが、神宮家が治める荒垣神社です。
今回の大祭では神社を治める者の世代交代の儀式があり、非常に重要な意味を持っているのですが、化け物騒動が徐々に島全体を覆っていき…
持念兄弟がもたらす不思議な力、神宮荒太に宿る脈々と受け継がれし力、犬丸一郎の持つこの世のものでない力、全てが一つになったとき、島は平安を取り戻します。

タイトルからして、何か事件が起こりそうな感じがして、物語の冒頭のほうですぐに悟史が母親から“あれ”の話を聞かされます。
そして、悟史は見てしまうんですね、あれの姿を。あれがどうやら港の方へ逃げた、と確認しておきながら、光市がいるはずの港へ駆けつける勇気が出ない。
持念兄弟というのは、義理の兄弟のようなものだと思います。それだけ固い絆で結ばれた仲だと、ふとした行動でも運命的なものを感じやすく、双子のようにお互いがピンチの時呼び合うような、そんな間柄です。
熱い友情と神秘的な力、晩夏の祭りと禍々しい気配。ミステリーと冒険が入り混じった、ラストはちょっぴり切ない物語です。。。