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詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

『現代詩手帖』2016年10月号・小特集は【長野まゆみと詩人たち】です

2016-09-26 15:22:13 | 主な仕事の記録
9月28日に発売予定の「現代詩手帖・10月号」では、【小特集・長野まゆみと詩人たち】が組まれています。
これは、今年(2016年)の4月にジュンク堂書店池袋本店にて、詩人・三角みづ紀さんと共に開催した企画展「長野まゆみと詩人たち」に基づいて構成されています。

この特集号には、長野まゆみさんの読み切り作品が掲載されています。また、4月8日にジュンク堂書店池袋本店で行った、長野さんと三角さんと私によるトークショーが、加筆訂正された文章として収録されています。
そして、企画展にご参加いただいた詩人の皆さんの詩作品は、詩人それぞれに長野さんの作品との想い出を一言添えて、収録されました。
その他にも、企画展や長野さんに対するエッセイも掲載されており、企画展の特製カタログとはひと味ちがう面白さが詰まっている1冊となっています。
「現代詩手帖」はこちらのサイトからも購入できます→思潮社 現代詩手帖

お見かけの際には、お手に取っていただけましたら幸いです。

【刀剣乱舞×詩】夜話【 #刀剣詩 】

2016-09-15 15:20:20 | 二次創作詩=漫画/アニメ/ゲーム×詩
今回の詩に登場するのはゲーム内、唯一の薙刀である岩融
実際にトーハクで獅子王を見たときに、岩融ではないのですが展示されていた薙刀があって、反りのきつい刃がすごく怖かったです。
こいつは相当に血を吸っているだろう、と妄想してしまう迫力に負けて、友達とガクブルしました。
さて、武蔵坊弁慶が使っていた薙刀と言われる岩融は『義経記』に登場します。
史実と創作が入り混じってこそ成立して、人々を惹きつけるのでしょう。
そんなことを想って書きました。タイトルは「夜話」です。

………………

夜話/そらし といろ

夜の手が伸びて
つかまれた足首
薄闇のなか
虫は鳴く
神様のように
変わらない声で
姿を隠したまま

透徹した月光をおそれて
火をつける、呼吸を囲む
夜の青白い裾を焼く
色や音に昔語りの混じる
まぶたの裏へ映す影絵に

なにを見たかったのだろう
なにを見ようとしたのだろう

そこは
血のにおいの湧く
三日月型の刃が閃く夜だ

見たい心が
見せる景色と
共に在り続けて

まとってしまった
夜の手を
つかめるほどの肉

借り物か?
狩り物か?
仮り物か?
いざ知らず。

昔を語る、
昔を騙る、
この声を宿す器は
あなたにかたろう
あなたをかたろう

【刀剣乱舞×詩】処暑【 #刀剣詩 】

2016-09-03 17:39:53 | 二次創作詩=漫画/アニメ/ゲーム×詩
私の本丸も1周年を過ぎて、ようやっと、やって来ました 長曽祢虎徹!!
虎徹の贋作ではあるけれど、動乱の時代を駆け抜けた新選組局長・近藤勇の刀として、今も人々を惹きつけています。
史実の新選組は5~6年しかなかった組織なのに、印象が強く残る不思議な存在です。
長曽祢は明るく振る舞いながらも、彼らとの日々のなかに閉じていそうな部分もあって、そこの妄想を広げました。
タイトルは「処暑」です。

………………

処暑/そらし といろ

茶色にうつむいて
かたい影を細長くして
向日葵の群れ
いくつかは折れて
すでに土へ還りかけて

一斉に飛び立つ蝶
早咲きの秋桜は白く
海草のように震える
頑ななつぼみを磨く
日射しに混じる涼

彼らはことごとく
夏のようであった
短かったのか
長かったのか
終わってしまって
途端に寂しい日々

おそらくは
長すぎる秋の果てにいた
ほのかに暖かい日だまりに
重ねるものが多すぎて
本物の北と冬を
遠ざけて

終わった季節にも
葬式を出してやらなければ
めぐることを忘れてしまう

掘り返した土の日だまりへ
横たえる向日葵の軽い茎を
想いつづけること