この世の最果てにあるのは時の森。そこにはたくさんの柱時計が生えている。
森といってもほとんどの柱時計は、役目を終えて横倒しになっているか、これから成長する小さなものばかり。
立派に生えている柱時計を探すのは簡単なことだ。
ぜんまい巻きの少女は、真新しい柱時計を目指して森の中を歩いている。
月光を浴びて緑色に発光する新しい時計は、まだ動いていない。
今、時を刻んでいる柱時計が止まったのと同時に動き出すからだ。
その為にもぜんまい巻きの少女は、硝子ケースをそっと開けて新しい時を巻くのだ。
少女がこの森を守り続けて幾世紀。何度も世界が荒れていくのを見ていた。
どんなに祈りをこめてぜんまいを巻いても、平和な時は流れないことを少女は知っている。
叶う事がないと知りながら、祈りを絶やしたことは一度も無い。
それすら止めてしまったら、この森を守る意味が無くなってしまう様な気がするからだ。
森を守らずとも柱時計は生える。ただ、時が流れないだけなのだ。
それはこの世の終わりを意味する。
だから少女はいつも少しだけ泣いてから、ぜんまいを手に取る。
誰にとって幸せな時が流れるか、不幸な時が流れるか。
少女ですら予測は出来ない。ただ、1年分のぜんまいを巻くことしか出来ない。
だから少女はいつも少しだけ祈ってから、ぜんまいを巻き始める。
冷ややかな時計に命を吹き込む、確かな手ごたえ。
古い時計と新しい時計が世代交代をする瞬間、少女は目を閉じてじっと耳を澄ます。
それはそれは素晴らしい鐘の音が森中に響き渡るのだ。
また新たな時が始まり、過去へ積もって行く。
古い時計が12時に針を合わせたまま、月光を浴びて静かに、密かに、止まった。。。
森といってもほとんどの柱時計は、役目を終えて横倒しになっているか、これから成長する小さなものばかり。
立派に生えている柱時計を探すのは簡単なことだ。
ぜんまい巻きの少女は、真新しい柱時計を目指して森の中を歩いている。
月光を浴びて緑色に発光する新しい時計は、まだ動いていない。
今、時を刻んでいる柱時計が止まったのと同時に動き出すからだ。
その為にもぜんまい巻きの少女は、硝子ケースをそっと開けて新しい時を巻くのだ。
少女がこの森を守り続けて幾世紀。何度も世界が荒れていくのを見ていた。
どんなに祈りをこめてぜんまいを巻いても、平和な時は流れないことを少女は知っている。
叶う事がないと知りながら、祈りを絶やしたことは一度も無い。
それすら止めてしまったら、この森を守る意味が無くなってしまう様な気がするからだ。
森を守らずとも柱時計は生える。ただ、時が流れないだけなのだ。
それはこの世の終わりを意味する。
だから少女はいつも少しだけ泣いてから、ぜんまいを手に取る。
誰にとって幸せな時が流れるか、不幸な時が流れるか。
少女ですら予測は出来ない。ただ、1年分のぜんまいを巻くことしか出来ない。
だから少女はいつも少しだけ祈ってから、ぜんまいを巻き始める。
冷ややかな時計に命を吹き込む、確かな手ごたえ。
古い時計と新しい時計が世代交代をする瞬間、少女は目を閉じてじっと耳を澄ます。
それはそれは素晴らしい鐘の音が森中に響き渡るのだ。
また新たな時が始まり、過去へ積もって行く。
古い時計が12時に針を合わせたまま、月光を浴びて静かに、密かに、止まった。。。