citron voice

詩人・そらしといろのブログ~お仕事のお知らせから二次創作&BL詩歌まで~

ぜんまい巻きの少女

2006-12-31 18:46:04 | つくりばなし
この世の最果てにあるのは時の森。そこにはたくさんの柱時計が生えている。
森といってもほとんどの柱時計は、役目を終えて横倒しになっているか、これから成長する小さなものばかり。
立派に生えている柱時計を探すのは簡単なことだ。

ぜんまい巻きの少女は、真新しい柱時計を目指して森の中を歩いている。
月光を浴びて緑色に発光する新しい時計は、まだ動いていない。
今、時を刻んでいる柱時計が止まったのと同時に動き出すからだ。
その為にもぜんまい巻きの少女は、硝子ケースをそっと開けて新しい時を巻くのだ。

少女がこの森を守り続けて幾世紀。何度も世界が荒れていくのを見ていた。
どんなに祈りをこめてぜんまいを巻いても、平和な時は流れないことを少女は知っている。
叶う事がないと知りながら、祈りを絶やしたことは一度も無い。
それすら止めてしまったら、この森を守る意味が無くなってしまう様な気がするからだ。

森を守らずとも柱時計は生える。ただ、時が流れないだけなのだ。

それはこの世の終わりを意味する。
だから少女はいつも少しだけ泣いてから、ぜんまいを手に取る。
誰にとって幸せな時が流れるか、不幸な時が流れるか。
少女ですら予測は出来ない。ただ、1年分のぜんまいを巻くことしか出来ない。
だから少女はいつも少しだけ祈ってから、ぜんまいを巻き始める。

冷ややかな時計に命を吹き込む、確かな手ごたえ。
古い時計と新しい時計が世代交代をする瞬間、少女は目を閉じてじっと耳を澄ます。
それはそれは素晴らしい鐘の音が森中に響き渡るのだ。
また新たな時が始まり、過去へ積もって行く。

古い時計が12時に針を合わせたまま、月光を浴びて静かに、密かに、止まった。。。

おもんぱかり

2006-12-30 18:51:34 | 日記
本格的に大掃除を始めました。窓を拭き、天井も拭き、チューリップの球根を植えたりして、動き回っていました。
昨日の晩に読み途中だった『おんぶにだっこ』さくらももこ(著)を読み終え、1冊分の本の山を減らせることが出来ました。
今回はいつものような笑いに溢れたものではなく、さくらさんの幼少時代を振り返った回想で、全体に渡ってどことなく哲学的です。
全部で24話あるのですが、その中でも特に印象に残ったのは『窓のおばあちゃん』です。

さくらさんが五歳の時に母方のお祖母さんが亡くなってしまい、そこで初めて人間の死に触れます。しかし、実感と言うものはなかなか湧かず、お葬式の場でも泣かなかったそうです。暫くすると、さくらさんの通う幼稚園のそばに、さくらさんが「窓のおばあちゃん」と呼んでいる人がおり、その人も亡くなります。
毎日のように窓辺越しに会いちょっとお話をして、たまにチョコレートをくれるその人の死によって、さくらさんは死ぬということを知ったそうです。

毎日のように窓辺にいた人が、いない。
待っていても帰ってくるわけではなく、何処に探すこともできない。
死というものは、生きていた人が永遠に動かなくなること、肉体は骨や灰になり触れることが出来ないだけではなく、二度と会うこと話すことが出来ない…

さくらさんがそれを知った時、布団の中でむせび泣く日々が続いた、と書いてありました。
いなくなった瞬間より、暫く時間が経つと故人が本当にもうこの世界にいない事を実感します。人の生きている時間は本人と周りにいる人では違うこと、本人が死んだあとに残される人が一体何を感じるのか、それを改めて考えさせてくれるエッセイです。
他にも、正直になれなかった時のことや今でもずっと後悔している事について等、様々な事が書かれています。
のんびりほのぼのとした雰囲気の中、ちょっと後ろを振り返って自分が今までしてきた事を反省できるような1冊でした。。。

積もり積もって

2006-12-29 18:45:08 | 日記
大掃除とまではいかずとも、ちょっと片付けをして半日が終わりました。
いらないプリントや紙の束、古い雑誌等々をどかして重ねていくと、それと同時にほこりが舞い上がり、いかに汚い部屋かが分かってしまいます。
普段は気にも留めない小物を置いている場所なんかはひどい有様でした。
思い切って小物の群れを下ろし棚を拭いて、とやりましたが次に掃除をするのはきっと来年の今頃かと。

このように、年賀状や大掃除らしき事をしていると驚くほど勉強していません。
昨日までは英語の補習に出ていたのでその勉強はしていても、今本当にするべき勉強は漢字検定の問題を少しでも多く解くことです。
このままでは勉強もほこりのように積もり積もって、やる気も失せるというものです。今日も今日とて掃除と、親についていってお正月用品の買出しに行ってしまったので…
親譲りの無計画で、といっても過言ではないようです。買出しに行ったのは良いものの、冷蔵庫に入りきらないほどの野菜を買い込んでいました。
はみ出るほうれん草が哀れです。
そして読書もままならず、また読みかけの本がこれまた積もりつつ。
明日は明日で慌しい一日のようです。。。

ご縁

2006-12-28 21:24:17 | 日記
ちらほらと、門松を立てた家を見かけます。他所の家では着々とお正月を迎える準備が整いつつある中、我が家では昨日ようやっとクリスマスツリーを片付けました。ちなみに、飾り付けたのは父一人という…今年は飾りつけの日に父以外の家族が皆出かけていたので、結果、そうなってしまったのですが。
なので片付けは私と母でやりました。そんなこんなで、まだまだお正月には程遠いようです。
少しくらいはどうにかせねばと思い、昨日今日で年賀状を書ききりました。
今日出せなかった分は明日に。きっと元旦には間に合いません…嗚呼。

年賀状は普段連絡の取れない友達との唯一の便りだったりします。
お互いにメールをする機会がなくても、年賀状は必ずやりとりしていますが、段々返事が来なくなる友達もいます。
とても仲の良かった親友と言える友達から、ある年を境にぱったりと連絡が取れなくなっています。
私にその原因が有る可能性もあるので、どうすればいいかと悩み、とりあえず年賀状は今年も書きました。
返事が来なくても、相手に届いていて彼女が読んでいればそれでいいのですが、何と言うか心配なんですね。小学校から中学校まで一緒の学校だったので。
たまたま、彼女と同じ高校に通っている友達がいるので、時折その子経由で彼女の情報を得ています。でも、学校にはちゃんと通っているというくらいで、実際、前と変わってしまったのかどうかは分かりません。
彼女の住所やメールアドレスを知っていても、自分から会おうとか中々言えず、結局、この新年の年賀状に頼っています。

いつか向こうから連絡をくれることを、今は信じて待つしかないようです。。。

備え

2006-12-26 19:12:19 | 日記
昨日、と言うよりは日付が変わった頃から年賀状を印刷し始め、何枚か書いて寝ようと思って作業をしていたらいつの間にか3時です、朝の。
時間がかかった割には印刷が上手くいかず、折角の猪柄が途切れてしまったものもありました。まだまだ使いこなせません。
しかし、久しぶりです、こんな夜更かしの仕方。おかげ様で眠気が何時でも襲ってきます。補習中もついぼんやり…今もキーボードの上に頭が落っこちてしまいそうなほどです。

雪ではなく雨がざんざか降っているので、補習のあと居残らず、おとなしく引き上げました。
が、ちょっと気になっていた雑誌のために書店を2ヶ所往復しました。
大した距離ではないと思って行ったり来たりしましたが、意外と疲れました。
結果。雑誌ではなく買いそびれていた漫画を3冊、衝動買いです。
最近は何かとやることがあり漫画を読む時間があるようで無く、読んでいない漫画・小説の山がそろそろ完成しそうです。

短い冬休みと言えど予定は結構詰まっています。
大掃除も何も、掃除の苦手な私が片付けを始めれば、何時だって大掃除です。
まずは小説の山を本棚へ移築する所から始めようかと。。。

キャロル

2006-12-24 23:39:52 | つくりばなし
贈り物を抱えてドアの前にたたずむ。
リースの飾られたドアの向こうで、君は何をしているんだろう。
物語のように幻想的な展開を僕は密かに期待していたりする。
ハレルヤという歌声が耳の奥で響き渡って、気が付いたら口ずさんでいた。

真っ白な箱に真っ赤なリボンをかけて、ゆっくり歩いてきた。
夜空に輝く星が見える。雪雲はなくても、素敵な夜だ。
中々ドアを叩く勇気が出てこない。けれど早く君に渡したい。
ニッコリ微笑んでくれるだろうか。
届ける前からそんな事ばかり考えてしまう。
クリスマス・イブが今年も巡ってきて本当に良かった。

特別な日になった、1年前の今日。
別に、今までは何でもない日だったけれど。
ナラタージュ。あの瞬間が頭の中でぐるぐる回る。
君がいるイブの夜は今年で2回目。あと何回、こうやって贈り物を贈るのかな。
ニルギリの香りがドアの向こうから漂ってくる。僕の好きな紅茶の香りだ。

一足早く。

2006-12-23 22:16:39 | 日記
予想外のクリスマスプレゼントを、今日、観てきました。
前回観れなかった映画『王の男』です。
私を含む友達3人で、映画館のオープン時刻から待ち構えていました。
チケットを購入でき一安心。席についていよいよ本編が始まると、一気に画面に引き込まれました。

感想は小説とほぼ一緒なのですが、映画として観ると小説よりも具体的に表現されるので、ぼーっと眺めてしまいました。
文字では伝わりきらない部分、例えば衣装の色彩の豊かさ、町や山谷の風景、太鼓や鐘の音、芸人の朗々とした声等…全部が融合してより一層、結末の切なさが引き立ちます。
また、残酷な殺害シーンも映像で現されると、暴君ヨンサングンがいかに狂気と悲劇の人かが伝わってきます。
韓国の大道芸もとてもユニークなものです。芝居の中に綱渡りを取り入れ滑稽さを強調していたり、とにかく体をはった演技は俳優にとって、とても大変な事だったと思います。でも、流石俳優です。映画の中ではチャンセンであり、コンギルなのです。
人は疑うのではなく、信じるもの。裏切りがあるかもしれないとは思わず、ただ親友を無償で守り通すチャンセンとコンギルの深い深い友情に、心を動かされました。今の時代は他人を警戒すると言ったら言いすぎかもしれませんが、信じる前に疑ってしまいがちです。
最初から最後まで飽きるところなく、ラストに近づくにつれ涙腺が緩みだし、周りからすすり泣く声も聞こえました。

大切な人と是非、観に行ってください。。。

柚子南瓜

2006-12-22 23:59:08 | 日記
終業式にて、競技会の表彰式が行われました。
私のクラスは3学年の中で一番勝率が高かったので、総合優勝となりました。
放課後は部活に行って今年最後のギターを弾こうとしていたら、顧問の先生から新たな楽譜を渡されました。

『高校三年生』【作詞】丘 灯至夫【作曲】遠藤 実

まさに真っ只中の私ですが。たまたま私はこの曲を知っていたので、先生が渡したくなる気持ちがよく分かります。でも、この楽譜は二重奏で、2ndを弾く相方はこの曲を知らなかったのです。弾いてみるとメロディーがリズミカルで、早く合わせられたらいいなと思っています。ですが、引退した割には新しい楽譜を貰っているという。まぁ、楽しいので、はい。
そして今日はその後、早稲田大学ギタークラブの第44回定期演奏会に一人で行ってきました。
前に、部活の先輩が通っている大学のマンドリンの演奏会には行った事あるのですが、大学生の方々のギターの演奏を聴くのは初めてです。
やはり人数が多いと合奏の迫力がまるで違いますね。私が所属するマンドリン部はギター合奏もやるのですが、部員数が二桁行かない場合がほとんどなので大人数の合奏には常々憧れていました。
特に素晴らしい演奏だと思った曲は、以下の通りです。

『スペイン組曲op47.セビーリャ』作曲I・アルベニス
『組曲 カルメン』         作曲G・ビゼー

アルベニスのスペイン組曲は私の大好きな曲です。この演奏会で引退する3年生の方々の合奏でした。音がとても澄んでいてまとまっており、感情豊かな演奏は流石です。惚れ惚れしてしまいました。
カルメンは2・3年生合同の合奏と言うことで、かなりの大人数での演奏です。
その分、迫力がありました。情熱的で、格好良くてとにかく凄かったです。
いわゆるオーケストラの演奏の雰囲気とは違って、ギターならではの音の厚みに圧倒されました。
大学生のパワーは高校生のそれとは違って、大人の実力みたいなものを感じ、私もあんな風に演奏できたらなぁと。

柚子湯に入ったおかげでまだ体がポカポカしています。
とうとう、冬に至りました。。。

進退

2006-12-21 21:30:42 | 日記
大学からの課題図書として初めて新書を読みました。
『ケータイを持ったサル 「人間らしさの崩壊」』正高信男(著)
少し前に話題になり、気になっていたので読むのにいい機会でした。
新書は色々な事を考えながら読み進めるモノのようです。久々に同じ行を何度も繰り返して読んでしまいました。

人間がサルに戻りつつある、これがメインテーマです。このテーマを様々な角度から調査した結果・考察が書かれていました。
特に面白かったのは、若者は何故、ローファーや上履きのかかとを潰して履くのか、についての考察です。
著者いわく、靴のかかとを踏み潰した状態で外の世界、一般社会や公共の場に出かけるのは、家の中の感覚でいたいからだそうです。
かかとを踏み潰した靴は、家の中で履くスリッパと同様のモノだということです。
そう考えると、そこかしこに座り込み、電車の中で平気で化粧をする理由も納得いきます。つまり、かかとの潰れた靴を履いている人にとってその空間は家の中と同じ、と言う訳です。そういう人たちが集まり、身内の固まりのような居心地の良い空間を作るのは、ニホンザルの母子のスキンシップに似ているという…
また、昔と比べて日本人の精神が成熟するまでの期間が長くなった、とも書かれていました。昔、15、16歳で結婚するのが当たり前だった時代がありました。
そして結婚をすれば15、16歳でも子どもを作る、出産し子育てをしていたのです。逆に今の日本は晩婚化、高齢出産の流れが定着しつつあります。
今と昔を比べると、明らかに今の大人が一人の人間を産み、育てていくことに対しての決断をする事をためらう傾向にあり、結果、子どもを産まず少子化が進んでいるのだそうです。
著者はサルの研究者です。だからこそ、人間とサルの違いをよく知っており、人間がいかに人間らしさを捨て始めているかを語っています。

小難しい言葉が少なく、興味を惹く様な書き出しにページをめくる手は止まらず、日常生活の中にあるサル化現象について、真面目な問題だけれど面白く読むことが出来ました。
人間が人間らしくあるためにはどうすればいいのか、難しい問題を解りやすく説いてくれる1冊でした。。。

有終

2006-12-20 19:36:11 | 日記
競技会も3日目、最終日です。頂上決戦まで駒を進めたのはキックベース・女子サッカー・男子バスケットの3種目でした。
結果を発表しますと、キックベースは準優勝、女子サッカーと男子バスケットは見事優勝をしました。
キックベースは対戦相手が強かったようです。新種目でも決勝戦まで勝ち続け、私のクラスもかなり良いチームだったので、まさに惜敗でした。
念願の優勝を果たしました女子サッカー。対戦相手は同じ学年の3年生でした。鬼のような気迫を感じ、攻める所、守る所を臨機応変に対応して先制した1点を守り抜けました。
他の試合の関係でなかなか始まらなかった男子バスケでしたが、試合そのもののテンポは速いこと速いこと。前半戦で体力を大分消耗していたようですが、ファインプレーの続出でとっても格好良かったです。

と言うことで、高校生活最後の競技会が終わりました。
寂しいです。でも、無事に最後の競技会に参加できてよかったです。
このクラスメイトで臨む大きな行事はいよいよ、卒業式だけとなりました。
英語の担当の先生が嫌みっぽく卒業式までの日にちを、わざわざカウントダウンしてくれています。
数えたくはないけれど、ついつい気になってしまう自分がいます。。。